2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14208095
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (20089882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 篤史 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (60270576)
山本 亘彦 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (00191429)
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Keywords | AD67-GFPノックインマウス / GABA作動性ニューロン / エレクトロポレーション / 細胞移動 / 領域特異性 / タイムラプス / 菱脳唇 / 神経節隆起 |
Research Abstract |
脳の構築は領域特異性がつくられることによって達成される。これは部位特異的に発現する転写制御因子やその制御を受ける分化誘導因子の働きによるが、脳の特定の領域に存在する細胞は均質というわけではなく、領域内に存在するニューロンに多様性があることは脳の情報処理にとってきわめて重要である。同じ転写因子や分化誘導因子の制御を受ける脳の部位で生じる神経細胞の多様性の形成には、領域を越えて起こる細胞の移動が重要な役割を果たしているものと考えられる。 我々はGAD67-GFPノックインマウスを用いて大脳皮質の冠状断切片標本と展開標本を作製し、大脳皮質におけるGABA作動性ニューロンの動態をタイムラプス観察し、その移動速度と運動方向を定量した。その結果、中間層と脳室下層では接続方向の顕著な移動が観察された。一方、辺縁層や皮質板、サブプレートに分布するGABA作動性ニューロンの多くはわずかな運動しか示さなかった。さらにその移動の運動性や方向性は細胞によって実に多様であり、脳表面に対し垂直方向に移動する細胞や、接続芳香ではあるが大部分の細胞とは逆に大脳基底核原基の方向へ戻るように移動する細胞もわずかに観察された。また、複数の領域をまたいで移動する細胞も観察された。これら移動細胞の多くが、ストップアンドゴーを繰り返す、跳躍的な動態を示していた。特に、切片標本におけるタイムラプス観察の結果予想外であった辺縁層におけるGABA作動性ニューロンの低運動性は、今回新たに試みた展開標本でのタイムラプス観察においても再確認された。これらの結果より、発生中の大脳皮質においてGABA作動性ニューロンはそれぞれの層で特異的な動態を示すことが明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hatanaka, Y.: "In vitro analysis of the origin, migratory behavior and maturation of cortical pyramidal cells"J.Comp.Neurol.. 45. 1-14 (2002)
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[Publications] Nagano, T.: "Filamin A-interacting protein FILIP regulates cortical cell migration out of the ventricular zone"Nature Cell Biology. 4. 495-501 (2002)
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[Publications] Taniguchi, H.: "Crossing the ventral midline causes neurons to change their response to floor plate and alar plate attractive cues during transmedian migration"Dev.Biol.. 249. 321-332 (2002)
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[Publications] Takemoto, M.: "Ephrin-Be-EphA4 interactions regulate the growth of specific thalamocortical axon populations in vivo"Eur.J.Neurosci.. 16. 1168-1172 (2002)
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[Publications] 村上富士夫: "軸索の正中交叉のメカニズム-底板の誘引、反発と成長円錐反応性の制御"実験医学増刊 脳・神経研究のフロンティア. 20. 750-756 (2002)
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[Publications] 谷口弘樹: "脳における神経細胞移動の動態とそのメカニズム -器官培養系を用いた移動解析-"蛋白質核酸酵素. 47. 2002-2009 (2002)
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[Publications] 村上富士夫: "シリーズ バイオサイエンスの新世紀vol.11 脳の発生・分化・可塑性(御子柴克彦、清水孝雄 編)、133-144"脳の基本回路の形成機構. (2002)