2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14208095
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (20089882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 篤史 理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (60270576)
山本 亘彦 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (00191429)
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Keywords | ラット / 胎仔 / エレクトロポレーション / 細胞移動 / 領域特異性 / GFP / 器官培養 / 大脳皮質錐体細胞 |
Research Abstract |
脳の構築は領域特異性が作られることによって達成される。これは部位特異的に発現する転写制御因子やその制御を受ける分化誘導因子の働きによるが、脳の特定の領域に存在する細胞は均質というわけではなく、領域内に存在するニューロンに多様性があることは脳の情報処理にとって極めて重要である。同じ転写因子や分化誘導因子の制御を受ける脳の部位で生じる神経細胞の多様性の形成には、領域を越えて起こる細胞の移動が重要な役割を果たしているものと考えられる。本研究では、何故これらの細胞は生まれた場所を去り、遠く離れた部位に移動して行くのかという疑問の解明を目指す。 本年度、我々は培養系における大脳皮質錐体細胞の起源と移動動態、及びその形態分化の解析を主に行った。胎生18-19日のラット胎仔脳の脳室帯細胞をエレクトロポレーション法によりGFPで標識し、その後大脳皮質をスライス状に切って器官培養した。培養1日後のGFP陽性細胞は神経前駆細胞とラジアルグリア細胞の両方の性質を示した。その後数日の間にかなりの数のGFP陽性細胞が脳の表層方向に向かって移動した。これらの細胞は先導突起を脳表層に向け、細胞の後端に脳室帯にも届くような細くて長い突起を残していた。先導突起はMAP2陽性であり、培養5-6日目になるとあるものは樹状突起状に形態変化を起こした。一方、後端から伸びている突起は軸索の様な形態的特徴を有していた。移動細胞の後端突起の経時的変化を追ったところ、その先端が軸索のように伸長することが確認された。解析の結果、GFP陽性細胞の殆どが錐体細胞様の興奮性神経細胞になったことを示した。以上の結果は脳室帯の細胞が放射状方向に移動する神経細胞を生み出すこと、これら移動細胞の持つ先導突起、細胞後端の突起がその後の樹状突起、軸索になること、そしてこれら細胞が錐体細胞へと分化していくことを示していると考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Mizuseki, K.: "Generation of neural crest-derived peripheral neurons and floor plate cells from mouse and primate embryonic stem cells"PNAS. 100. 5828-5833 (2003)
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[Publications] Miyahara, M.: "Pathfinding and growth termination of primary trigeminal sensory afferents in the embryonic rat hindbrain"J.Comp.Neurol.. 460. 503-513 (2003)
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[Publications] Hattori, S.: "Rundown of a transient potassium current is involved is attributable to changes in channel voltage dependence"Synapse. 48. 57-65 (2003)
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[Publications] Kawauchi, D.: "MuSC is involved in regulating axonal fasciculation of mouse primary"Eur.J.Neurosci.. 18. 2244-2252 (2003)
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[Publications] Tanaka, D.: "Multimodal tangential migration of neocortical GABAergic neurons independent of GPI-anchored proteins"Development. 130. 5803-5813 (2003)
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[Publications] Hattori, S.: "Quantitative relationship between Kv4.2 mRNA and A-type K^+ current in rat striatal cholinergic interneurons during development"J.Neurophysiol.. 90. 175-183 (2003)
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[Publications] 村上富士夫: "脳神経科学(伊藤正男 監修、金澤一郎 他 編)"三輪書店. 841(189-195) (2003)