実験動物由来微生物の病原性の再評価ならびに感染検出システムの再検討

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14208097
• Research Institution: Central Institute for Experimental Animals
• Principal Investigator: 伊藤 豊志雄 財団法人実験動物中央研究所, 動物医学研究室, 室長 (20106644)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 佐藤 浩 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 教授 (50072947) ; 喜多 正和 京都府立大学, 医学部, 助教授 (60153087) ; 川本 英一 東京医科大学, 医学部, 講師 (20074718) ; 八神 健一 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40166476) ; 柴原 壽行 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 助教授 (70116937)
• Keywords: 実験動物 / ヘリコバクター / パスツレラ / パラインフルエンザウイルス / パルボウイルス / 病原性 / 検査方法

Research Abstract

昨年度に引き続き、下記微生物の病原性の確認を行った。
寄生虫感染(蟯虫と原虫):感染実験のための材料の収集・維持に続き、病原性の確認に入っている。蟯虫で新しい知見が認められだした。ヘリコバクター;免疫不全マウスに病原性(肝炎、大腸炎)を示したH.hepaticus、H.bilisならびにH.cinaediの病原因子について検討した。すなわち、これらの菌についてH.pyloriで既知の病原因子の核酸検索を行った。これら3菌種に共通する因子は見出されなかった。しかし、H.cinaediについては、他のHelicobbacterで既知の病原因子と類似する因子が検出された。病原性の違いの菌側要因検索は困難である。Pasteurella pneumotropica:本菌同定にあたっての問題点が整理され、マニュアルの発表準備中である。さらに、本菌は免疫学的に正常なマウスに病原性を発揮することは極めて稀な微生物と認識されているが、Jawetz株は複数の種類の免疫不全マウスに致死性の呼吸器病を引き起こすことが確認された。パラインフルエンザウイルス:モルモット由来III型ウイルスの病原性を検討した。モルモットは感染初期に低率(10%)であるが肺病変をひきおこした。ラットは感染後、抗体は上昇し、感染初期に極めて軽度な肺病変が認められ、気管支上皮細胞に抗原も検出された。マウスはラットに比べ、さらに軽度な感染に終わることが確認された。パルボウイルス:マウスパルボウイルス(MPV)抗体検査については、ウイルス増殖の良好な細胞が見つかっていないため、VP蛋白リコンビナント抗原を用いたELISAの系を確立した。病原性の確認については、マウス継代株を用いた感染実験において、免疫不全マウスにも明確な病原性を示さないという結果が得られた。

Research Products

• [Publications] K.Tamura, T.Oka, K.Ohsawa, T.Koji, Y.Watanabe, S.Katamine, H.Sato, H.Ayabe: "Allogeneic cell stimulation enhances Cytomegalovirus replication in the early period of primary infection in an experimental rat model."The Journal of Heart and Lung Transplantation. 22(4). 452-459 (2003)
• [Publications] K.Ohsawa, Y.Watanabe, H.Miyata, H.Sato: "Genetic Analysis of a Theiler-like virus isolated from rats."Comparative Medicine. 53(2). 191-196 (2003)
• [Publications] A.Takakura, K.Goto, T.Itoh, K.Yoshimatsu, I.Takashima, J.Arikawa: "Establishment of an enzyme-linked immunosorbent assay for detection of Hantavirus antibody of rats using a recombinant of necleocapsid protein expressed in Eschrichia coli"Experimental Animals. 52(1). 25-30 (2003)
• [Publications] 高倉 彰: "信頼性の高い実験動物の微生物モニタリングのための微生物検査法とサンプリング"日本実験動物技術者協会九州支部会報. 27. 7-14 (2003)
• [Publications] T.Ohno, M.Kita, Y.Yamaoka, S.Imamura, Yamamoto T, S.Mitsufuji, T.Kodama, K.Kashima, J.Imanishi: "Antimicrobial activity of essential oils against Helicobacter pylori."Helicobacter. 8(3). 207-215 (2003)