2004 Fiscal Year Annual Research Report
深海に生息する動物プランクトンの生理・生態に関する研究
Project/Area Number |
14209001
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
池田 勉 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (80281799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 直信 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30091466)
山口 篤 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (50344495)
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Keywords | 動物プランクトン / 中・深層 / 代謝活性 / 体化学成分 / 生活史 |
Research Abstract |
平成16年度は、これまで試みられなかった3000-5000m水深からの「生きている」動物プランクトン(特にカイアシ類)採集を海洋研究調査機構学術研究船「淡青丸」のKT04-18航海で実施した。その他、練習船「おしょろ丸」の154B航海で最大3000m水深までの動物プランクトン採集を実施した。今年度の主要成果は次のようにまとめられる。 1.代謝活性:今回の3000-5000m水深から採集された動物プランクトンの酸素消費速度は2000-3000m水深のそれと同程度であった。液体窒素中で凍結保存した標本について、陸上実験室で測定されたETS活性は個体毎に変動が大きく、2000-3000水深の個体と同程度のグループとそれよりも高い活性を示す2グループに分かれた。なお、3000m水深までのカイアシ類の酸素消費速度、ETS活性の最新の成果は10月にハワイのホノルルで開催されたPICES第13回年次会議のポスターセッションで発表した。 2.体化学成分:500-5000m水深を通して、動物プランクトンの体を構成する水分、灰分では深度増加による変化は見られないが、窒素含量は深度増加に伴い減少、炭素、エネルギー含量は深度増加に伴い増加する傾向がみられた。核酸比(RNA/DNA)は表層の動物プランクトンでは高い値を示し、栄養状態も良く成長が活発であることをしめすが、水深増加に伴い急速に減少し、深海での栄養制限が示唆された。 3.生活史:これまで世界海洋の中・深層に普遍的に分布することが知られているが、その生活史が未知であった小型カイアシ類Oncaea属4種について、1世代時間が1-1.5年程度であることが判明した。また、これら小型カイアシ類の単位体重あたりの酸素消費速度は大型カイアシ類のそれに比べてかなり低いことが明らかとなった。 これらの研究成果は現在、研究論文として発表する準備をしているところである。
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Research Products
(6 results)