2002 Fiscal Year Annual Research Report
アジア諸社会におけるエリートのネットワークと文化表象-比較研究の試み-
Project/Area Number |
14209007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中里 成章 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (30114581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 康 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (70185213)
山本 英史 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90127796)
鈴木 董 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50162962)
板倉 聖哲 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (00242074)
桝屋 友子 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (40300735)
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Keywords | アジア / エリート / ネットワーク / 文化表象 / 比較史 |
Research Abstract |
本研究計画は、近世から近代にかけての東アジア、西アジア及び南アジアのエリートの比較研究を、ネットワークの態様と文化表象の生産の2点に着目して行い、アジア諸社会のエリートの性格について、新しい視点を構築することを目的としている。 初年度に当たる本年度は、研究会での討論を通じた論点の整理、資料の収集、及び海外調査を行った。研究会は10月17日、1月23日(東洋文化研究所定例研究会と共催)、1月27日、1月30日の4回開催した。研究会では、「植民地期インドのエリートと言語」(井坂理穂)、「オスマン帝国における西欧の衝撃と言語表象世界の変容」(鈴木董)、「オスマン文人の存在構造」(鈴木董)、「文人の表象としての肖像画--元末明初の2作例を中心に」(板倉聖哲)、「イル・ハン朝宮殿建築装飾における権威の象徴」(桝屋友子)、「ルース・デフテリについて」(Ilhan Sahin)、「戦前の日印間におけるマッチの流通と文化表象--商標・権益・ネットワーク」(大石高志)の計7つの発表が行われた。研究会において特に関心を集めたのは、エリートの地域間比較の問題であり、英領インドとオスマン帝国の双方に見られる「多元的な言語世界」の共通点と相違点や、中国の「文人」とオスマン帝国の「文人」の比較の問題について、熱心な討論が行なわれ、アジアのエリートの比較分析の枠組について議論が深められた。また研究会には毎回20〜30名の参加者があった。研究会には多くの院生が参加し、若手研究者の養成という点でも成果があった。 資料収集については、アラビア語資料、ペルシア・タイルのスライド資料など特色あるものの収集が進められた。海外現地調査は、インド、中国、イギリス、アメリカで実施された。招聘では、トルコからIlhan Sahin教授を招き、研究会を開催した。また研究分担者が発表した英語論文は7点に上り、研究成果の海外発信という点でも大きな成果があった。
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Research Products
(21 results)
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[Publications] 中里成章: "アメリカ技術使節団(1942年)について--第二次世界大戦期における印米英関係の一側面"東京大学東洋文化研究所編『アジア学の将来像』. 145-171 (2003)
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[Publications] Nariaki Nakazato: "The Politics in a Partition Riot : Calcutta in August 1946"Symbiosis and Conflict in Muslim Societies : Historical and Comparative Perspectives, New Horizons in Islamic Studies, ed. Tsugitaka Sato. (in press).
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[Publications] 井坂理穂: "第10章 サバルタン研究と南アジア"長崎暢子編『現代南アジア1 地域研究への招待』. 257-275 (2002)
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[Publications] Riho Isaka: "Language and Dominance : The Debates over the Gujarati Language in the Late Nineteenth Century"South Asia. 24. 1-19 (2002)
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[Publications] Riho Isaka: "The Perception of the Literary Tradition of Gujarat in the Late Nineteen Century"南アジア研究. 14. 1-19 (2002)
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[Publications] Riho Isaka: "Gujarati Intellectuals and History Writing in the Colonial Period"Economic and Political Weekly. 37,48. 4867-4872 (2002)
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[Publications] 井坂理穂: "植民地期インドにおける新聞・雑誌と言語改革"文学. 4・1. 60-69 (2003)
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[Publications] 板倉聖哲: "Representation of Politicalness and Regionality in Wen-chi's Return to China"Acta Asiatica. 84. 20-41 (2003)
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[Publications] 板倉聖哲: "文人画家の肖像-仇英『倪 像巻』(上海博物館)を読む"文人の眼. 6. 32-39 (2002)
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[Publications] 大石高志: "南アフリカのインド系移民-インド洋交易ネットワークと植民地体制の交差と相補-"秋田茂・水島司編『世界システムとネット-ワーク』<講座現代南アジア6>. 299-325 (2003)
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[Publications] Takashi Oishi: "Indian Muslim Merchants in South Africa, 1875-1920 : with Special Remarks on their Migration in the Indian Ocean Region"South Asian Migration in Comparative Perspective : Movement, Settlement and Diaspora (JCAS Symposium Series). 13. 305-346 (2002)
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[Publications] 大木 康: "清代女流詩人と柳如是-澄懐堂美術館蔵『顧娼画柳如是書合壁冊』に寄せて"澄懐. 3. 7-18 (2002)
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[Publications] T.Masuya: "Ilkhaid Courtly Life"The Legacy of Genghis Khan : Courtly Art and Culture in Western Asia, 1256-1353. 75-103 (2002)
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[Publications] 桝屋友子: "スペインのラスター彩,ペルシアのラスター彩"古代オリエント美術館編『シルクロード歴程-ラスター彩,三彩,織部の源流を求めて』. 41-52 (2002)
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[Publications] 森本一夫: "ターリブ家系譜学の専門用語と記号:用語集史料の記述から"歴史学研究会編『系図が語る世界史』. 273-301 (2002)
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[Publications] 森本一夫(監訳): "ナ(エ)ースィレ・フスラウ著『旅行記(Safarramah)』訳註"史朋. 35. 1-29 (2003)
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[Publications] 森本一夫: "イランの祭り"地中海学会編『地中海の暦と祭り』. 134-137 (2002)
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[Publications] 森本一夫: "「ならず者」から「悪の枢軸」へ:イランの視角から"しゃりばり. 248. 56-59 (2002)
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[Publications] 山本英史: "二十世紀の日本の中国研究に求められるもの"中国-社会と文化. 17. 92-96 (2002)
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[Publications] 山本英史(訳): "日本の大学図書館における中国地方志調査記"史学. 71・4. 75-87 (2002)
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[Publications] 大木康: "馮夢龍「山歌」の研究"東京大学東洋文化研究所. 810 (2003)