2005 Fiscal Year Annual Research Report
古代インドにおける宗教的造形の諸相-寺院建築と美術の成立と展開-
Project/Area Number |
14251001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮治 昭 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70022374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 武蔵 愛知学院大学, 文学部, 教授 (00022369)
秋山 光文 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (60130861)
森 雅秀 金沢大学, 文学部, 助教授 (90230078)
野々垣 篤 愛知工業大学, 工学部, 助教授 (10283392)
矢口 直道 岐阜市立女子短期大学, 講師 (00342048)
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Keywords | 西インド石窟寺院 / 仏教石窟 / ヒンドゥー教石窟 / チャイティヤ窟 / ヴィハーラ窟 / フジャンター石窟 / エローラ石窟 / クダー石窟 |
Research Abstract |
本年度は西インド(マハーラーシュトラ州)の石窟寺院の調査、および4ヵ年の調査研究の総括を行った。 石窟寺院の調査としては、クダー、マハッド、コール、ケード、パンハーレ・カジ、カラード、イェルパル、ポハレ、ワイ、シルワル、バージャー、カールラー、ベードゥサー、コンダーネー、ピタルコーラー、アジャンター、エローラ、ナーシク、カンヘーリーの諸石窟である。これらの石窟の半分近くはあまり知られていないが、ムンバイのソーマイヤ研究所のジャンケードカル氏の案内を得て、調査することが出来た。 今回の調査で明らかになったことは以下の点である。第一に、従来、石窟寺院の編年は、前2〜後3世紀の前期窟と、後5世紀中頃〜8世紀の後期窟とに分けられて論じられてきたが、両者を繋ぐ位置にある中期窟とも呼ぶべき石窟が見られ、石窟の形態と編年を見直す必要があること。第二にこれらの石窟の立地が現在は不便な場所にあるものが多いが、かつては港町と都市部を繋ぐ交易路に位置していたところが多く、今後、石窟寺院の造営と商業交易との関係の視点から、そのルートを追跡することが重要であること。第三に、ヴィハーラ窟の形態、ストゥーパ信仰、仏像信仰が様々に関係していることが明らかとなり、単純にヴィハーラ窟=僧院窟とは言えないこと。第四にクダー石窟の仏三尊像、パンハーレ・カジ石窟の不動明王像など、インドの大乗仏教美術、密教美術を考える上で、重要な作品が明らかとなったこと。 なお、エローラ石窟ではヒンドゥー教の女神像と信仰、儀礼の問題、および密教尊像の図像学的な調査研究を重点的に行った。 本年度は本研究の最終年度でもあり、4年間の調査研究の総括を行い、報告書作成のための研究会を開き、検討を加え、考察を深めた。この成果は調査報告書として刊行される。
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Research Products
(19 results)