2003 Fiscal Year Annual Research Report
カナダにおける先住民のメディアの活用とその社会・文化的影響
Project/Area Number |
14251009
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
ヘンリ スチュアート 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (50187788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 幸子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (80268507)
大村 敬一 大阪大学, 文語文化部, 助教授 (40261250)
岸上 伸啓 国立民族学博物館, 先端民俗学研究部, 助教授 (60214772)
齋藤 玲子 北海道立北方民族博物館, 学芸員
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Keywords | 先住民 / メディア / イメージ表象 / 政策 / カナダ / グリーンランド / 情報操作 / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究の2年目(2003年度)では、スチュアートはカナダ北西準州イエロナイフでCBC North記者に会い、放送における先住民の扱いについて教示もらった。アルバータ州エドモントンで音楽メディアを駆使しているクリー・インディアンのラップ・バンドWar Partyメンバと会い、ヒップ・ホップ音楽の主旨と目的を調査した。オタワのAboriginal Healing Foundationを訪れ、19世紀後半〜20世紀の全寮制学校で先住民がうけた虐待を調べた。コペンハーゲンおよびグリーンランドのヌークで、グリーンランダー(イヌイト)をめぐるメディア現状の予備調査を行なう。 齋藤は、妊娠とお産のため、日本国内におけるカナダ先住民の資料を所蔵・展示する博物館・美術館の状況把握に着手し、カナダ先住民とアイヌとの比較・適用に関する課題検討のための情報収集を行なうとともに、前年度調査で得た文献はデータベース化した。また、博物館での視察・インタビューでは、展示の企画・実際における先住民族との協力関係や、表記等の標準化、諸権利などに関する取り組みの変遷・方針・規約等を調査した。 窪田は、オタワ、モントリオールにおいて、博物館、メディアにおける先住民表象とそれをめぐる問題について、各地の各機関宅インタビュー調査を行い、関連資料を収集した。具体的にオタワで国立文明博物館のファースト・ネーションズ・ホール(先住民文化展示室)の調査、モントリオールで国立映像協会の先住民映画制作者育成プローグラムの調査および先住民協会と大学でメディア資料収集を行なつた。アルバータ州で先住民の各メディア組織を取材した。 岸上は、2003年9月10日から10月9日まで、カナダのモントリオールとアクリヴィク村においてイヌイットのマスメディアの利用と影響に関する調査を実施した。前者ではおもに文献調査を行い、後者においてはラジオやテレビの放送および視聴の現状について、さらにイヌイットの番組嗜好について参与観察と聞き取り調査を行った。 大村は、今年度に本研究の調査を行なわなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 岸上伸啓: "カナダ・イヌイット社会におけるメディアの利用について:ヌナヴィク地域の事例を中心に"人文論究(函館教育大学). 73. 17-31 (2004)
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[Publications] 大村 敬一: "近代科学に抗する科学:イヌイトの伝統的な生態学的知識にみる差異の構築と生産"社会人類学年報. vol.29. 27-58 (2003)
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[Publications] 大村 敬一: "二つの科学の統合から協力へ:カナダ極北圏におけるヌナブト野生生物管理委員会の挑戦"『海洋資源の利用と管理に関する人類学的研究』国立民俗学博物館調査報告. 46. 73-100 (2004)
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[Publications] スチュアート ヘンリ 編著: "「野生」の誕生:未開イメージの歴史"世界思想社. 80 (2003)