2004 Fiscal Year Annual Research Report
メコン流域における金属資源とその利用に関する考古学的研究
Project/Area Number |
14251016
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新田 栄治 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00117532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根建 心具 鹿児島大学, 理学部, 教授 (10107849)
渡辺 芳郎 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (10210965)
中村 直子 鹿児島大学, 埋蔵文化財調査室, 助教授 (00227919)
新里 貴之 鹿児島大学, 埋蔵文化財調査室, 助手 (40325759)
小林 青樹 國學院大學栃木短期大學, 日本史学科, 助教授 (30284053)
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Keywords | メコン流域 / ベトナム / 鉄 / 銅 / 鉛同位体比分析 / 産地同定 / 製錬 / 精錬 |
Research Abstract |
2004年12月、ベトナム南部のホーチミン市、ヴァーリア・ブンタウ省、ドンナイ省、ビンフック省、ビンズオン省、ラムドン省の各市・省で現地調査を実施した。また、11月にホーチミン市、ハノイ市において事前調査を行なった。 ホーチミン市、ヴァーリア・ブンタウ省、ドンナイ省、ビンフック省、ビンズオン省においては、金属器時代の諸遺跡の現地踏査、および各省所在遺跡からの出土遺物、とくに青銅器・鉄器と青銅器鋳造用鋳型の詳細な調査、実測、写真撮影を行い、金属器関係資料の収集に努めた。 ヴァーリア・ブンタウ省では新発見の埋葬遺跡から出土した金製マスクの存在を明らかにし、ビンズオン省でもきわめて珍しい銅鼓を蓋とした木棺墓の資料調査を行うとともに、銅製マスクの存在について、あわせてその起源を考察した。ベトナム南部の金属器時代の墓葬の中に、中国の埋葬儀礼と関係するマスクや、漢代の銅鏡があり、ベトナム南部に中国との交渉の中で導入されたものがあることを明らかにした。 ビンフック省では大規模な環濠集落遺跡を踏査した。その結果、新石器時代後期から金属器時代に至る時期に防御機能を備えた集落がベトナム南部からカンボジア東部の丘陵地帯に現れることが推定でき、社会変動が各地におきている状況が把握できた。 ラムドン省では金属器時代後、内陸地帯に初期国家、あるいはインド的地方政体が出現することを、カッテイエン遺跡の出土資料の分析から明らかにし、従来のタイ湾から南中国海沿岸部の港市あるいは港市政体だけでなく、内陸部にも政体の成立と展開があり、そのさいインドの影響が強烈に見られることを解明した。 今回の調査成果は2005年5月の日本考古学協会大会で発表するとともに、東南アジア考古学会が発行する「東南アジア考古学」第23号に発表予定である。
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Research Products
(4 results)