2003 Fiscal Year Annual Research Report
中米古代国家の形成とイデオロギー:テオティワカン「月のピラミッド」発掘調査
Project/Area Number |
14251017
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
杉山 三郎 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (40315867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 信太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20143357)
佐藤 悦夫 富山国際大学, 人文社会学部, 助教授 (40235320)
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Keywords | 新大陸考古学 / メソアメリカ / テオティワカン / 月のピラミッド / 古代文明 / 古代計画都市 / モニュメント / 生贄埋葬 |
Research Abstract |
2003年7月から10月にかけて、メキシコの古代都市テオティワカンの中心的モニュメント「月のピラミッド」発掘調査をメキシコ政府研究機関と共に継続、その後も現地の研究センターにて遺物の整理、分析を行い、愛知県立大学では持ち帰った資料の整理作業と研究を継続中。今年度中に保存作業を除いた外部調査を終了し、今後資料整理を主要課題とする予定であったが、10月に入って4期のピラミッド中心部分から墓室と同定される遺構を発見し、したがって来年度はその内部発掘のみ夏の現地調査を整理・出版作業と平行して行う予定である。すでにその為の補助基金としてNational Geographic Societyから研究基金を得、来年度の墓室内調査を計画中。 平成15年度は「月のピラミッド」上層部で掘られたトンネル調査によって、5期基壇の上層部床面から発見された埋葬体5の墓坑からさらに下層の調査、そしてその南北壁面の内部をトレンチや小規模トンネル発掘をして層位確認を行った。これによって埋葬体5の下層に墓が続いていないことが確認され、同時に4-5期のピラミッド内部構造や年代測定の資料を得た。一方で4期基壇の内部にもトンネル発掘がアドサダ・プラットホーム上部から行われて、その中心地点にも5期基壇と同様な埋葬がある可能性を調査した。結果として想定していた中心部分からさらに北に埋葬墓があることが夏の調査終了期に確認されたので、安全と管理の問題からトンネル入り口を完全に塞ぎ、来年度以降の調査の研究課題とした。また月の広場北西のピラミッド基壇の北面からのトンネル調査も継続して予定通りその中心までの発掘が完了し、内部にすくなくとも4期のピラミッド建築史が明らかとなった。また3D建築図作成の為のトータル・ステーションによる測量も継続し、ジャガーの神殿や羽毛の生えた貝の神殿、ケッツアル蝶の宮殿の現地測量も完了し、さらに死者の大通りの建築測量を始めた。 現在メキシコ政府に提出用の詳細な発掘報告書を作成中。研究成果は、本年4月初旬のアメリカ考古学協会総会(モントリオール開催)で、研究代表者が企画した「月のピラミッド」調査団のシンポジウムとして共同研究者と共に発表する予定。また現地メキシコではメキシコシティーの国立人類学博物館にて「月のピラミッド」特別展示を、メキシコ政府の主催で本年度5-8月に開催予定。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 佐藤悦夫: "テオティワカンの土器についての一考察(2):トラミミロルパ期からメテペック期までの土器"富山国際大学人文社会学部紀要. 4巻(未定). (2004)
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[Publications] Saburo Sugiyama: ""Governance and Polity at Classic Teotihuacan" In Mesoamerican Archaeology : Theory and Practice, pp97-123(Ed. Julia A.Hendon, Rosemary A.Joyce)"Blackwell Publishing, Austin. 352 (2004)