2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14252003
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉川 元 神戸大学, 法学研究科, 教授 (50153143)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月村 太郎 神戸大学, 法学研究科, 教授 (70163780)
増島 建 神戸大学, 法学研究科, 教授 (30286017)
ALEXANDER R.B 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (40221006)
片山 裕 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (10144403)
高橋 基樹 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (30273808)
|
Keywords | 予防外交 / 紛争 / 平和構築 / 外交 / アフリカ / 中東 / 欧州 |
Research Abstract |
最終年度の本年度も、予防外交の可能性を世界の各地域において検証するために、本研究プロジェクトの全員が海外の現地調査を行った。また研究会を開催して、参加者全員、これまで3年近くにわたる研究成果を披露した。本共同研究によって得られた知見は、第一に、欧州の予防外交体制が、世界で最も進んでおり、しかも実質的な成果を挙げている、という点である。第二に、アフリカでは、予防外交体制は整備の途上にあるが、「弱い国家」、「破綻国家」から発生する紛争は、まさにグローバル化時代の「新しい戦争」そのものであり、予防外交の展開が困難であることが明らかとなった。第三に、非民主的国家がひしめく中東地域での予防外交は、いまだその制度化がすすまず、特に水資源をめぐる紛争が、今後とも、多発することが予測された。第四に、多民族国家の紛争後には、紛争が再発する傾向がみられること、そして一見、平穏ではあってもそれは多国籍軍の存在の結果であり、いつ何時、紛争が再発するかがわからない不安定な状況であることが明らかになった。よって多民族国家でのエスニック紛争後に平和構築が困難であることが検証できたし、そのことから紛争予防が重要であるとの結論が得られた。 世界各地の紛争予防の現状を、紛争原因、予防外交パワー、そして予防外交体制の制度化といった視点から比較分析すると、紛争予防への取り組みの地域差がいかに大きいかが明らかになったことが本共同研究で得られた最大の知見であろう。世界の紛争地帯を調査して回ったこの三年間、本研究の分担者は、単に文献で情報を収集することではとうてい得ることのできないような、貴重な体験をした。紛争現場に身を置くことで、紛争原因、そして紛争そのものを実感できたし、また現地で政策担当者や専門家と直に面談調査したことで、予防外交の現状およびその課題を直に検証できたのは貴重な経験であった。(了)
|
Research Products
(20 results)