2004 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ・サバンナ帯の民族知と変化する環境との相克
Project/Area Number |
14252012
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
堀 信行 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40087143)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 雅人 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (30211957)
大山 修一 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (00322347)
鹿野 一厚 島根県立島根女子短期大学, 助教授 (10226110)
知念 民雄 流通経済大学, 経済学部, 教授 (50236808)
高岡 貞夫 専修大学, 文学部, 助教授 (90260786)
|
Keywords | 民族知 / 環境変化 / 土地利用 / 環境利用 / 土壌浸食 / 砂漠化 / 干ばつ / 乾燥サバンナ |
Research Abstract |
今年度の現地調査は、堀・大山・知念・高岡が行い、他のメンバーと研究協力者Fall, O.は、資料の整理とまとめを行った。 堀は、ケニアとカメルーン北部で、Acacia albidaの分布とその民族知と土地利用調査を行った。ケニアでは、南東部のタベタ周辺と北部のケリオバレーで存在を確認し、家畜の餌としての利用が主で、タベタで雨季直前の落葉を畑地の肥料として利用する例に出会った。カメルーン北部では、この樹の利用状況と農民の認識の聞き取りを行った。大山は、ニジェール中東部ハウサの農民の土地利用システムの調査を行った。とくに畑地への肥料の投入の量とその効果について検討した。 知念は、ニジェールのニアメイ近郊で主に土壌侵食に対する農民の認識調査を行い、布状侵食や小規模な線的(リルやガリー)侵食は、細粒な粘土分や栄養分を畑地にもたらし歓迎されていた。農民が土壌侵食防止策を講じるのは、小ガリーの拡大段階である。雨季の風食は被害を招き、乾季の風は細粒な砂塵を畑地に貯め、栄養分となる考えが支配的であった。高岡は、ケニアのケニア山北東斜面地域で衛生画像解析のグランドトルースと、同地の森林局で伐採と植樹の聞き取りと資料収集を行った。前者は1987年2月と2002年2月撮影Land sat TMデータから植生指数(NDVI)を比較から、耕地拡大に伴う植生の増加または不変地域と、激減地域の存在が判明した。原因は現在解析中であるが、降水量の多寡と土壌条件(black cotton soil)が関係していると考えられる。耕作地内への植林と樹木伐採の資料から、降水量の異なる村ごとに樹木利用の樹種が異なり、樹木成長の良い地域では、樹木が農地改善の他に、木材や換金目的で植樹と伐採が積極的になされていることがわかった。 以上の事例を通じて各地の生業システムの民族知と環境変化との対応関係の考察を行った。
|
Research Products
(12 results)