2004 Fiscal Year Annual Research Report
オセアニア地域住民の成人病ハイリスクに関する遺伝生態学調査研究
Project/Area Number |
14255008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 柳太郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60010071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 貴文 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20184533)
中澤 港 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40251227)
大橋 順 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80301141)
山内 太郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70345049)
夏原 和美 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00345050)
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Keywords | 成人病 / 生活習慣病 / 遺伝生態学 / 糖尿病 / 肥満 / ライフスタイル / 近代化 / 倹約遺伝子仮説 |
Research Abstract |
本年度はソロモン諸島国において集中調査を行った(代表者、6名の分担者、及び3名の協力者)。同国ウエスタン州のムンダ、パラダイス、ラワキの3村落において、住民の基本情報の把握とともに、生体計測、血圧測定、エネルギー代謝、経口糖負荷試験、採血、採尿、食習慣調査を行った。対象者は18歳以上の住民とし、ムンダは187名(平均年齢45.3歳)、パラダイスは212名(37.2歳)、ラワキは154名(33.3歳)が参加した。 BMI平均値は男性で24.7、女性で26.8であり。インドネシア調査の19.4(男性)、19.2(女性)より高かったが、トンガ調査の平均値の30.4(男性)、33.6(女性)に比べると低い結果であった。 ソロモン諸島の3地域の尿試験紙結果を比べると、パラダイスの尿pH値は遺伝的背景が等しいムンダにくらべて高く、この村の住民が近代化の影響をあまり受けず、伝統的な食生活を維持していることが示唆された。また全般的に潜血陽性が多かったものの亜硝酸塩や白血球陽性の者は少なく、尿路感染症は低レベルに留まっていると考えられた。ラワキでウロビリノーゲンに性差がみられ女性で高値を示した。この結果は遺伝的背景と食生活の近代化の相乗作用を反映しているものと考えられる。 またBMI平均値を比較すると男女ともにラワキが高く、ムンダ、パラダイスの順であった。年齢の影響を考慮した相関分析の結果、BMIは肥満に関連があるとされているレプチンレベル、およびインスリン抵抗性の指標であるHOMA(Homeostasis Model Assessment)と有意な正の相関を示した。しかし、地或別・男女別にみてみると、BMI平均値が最も低かったパラダイスの男性ではこれらの有意な関係が見られないことがわかった。3地域の遺伝学的特性も考慮しながら血液生化学分析の結果を分析していく予定である。
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Research Products
(7 results)