Research Abstract |
インカ帝国の空中都市遺跡として知られるペルー国クスコ州の険しい山の峰に建設されたマチュピチュ世界遺産を主な試験地として,斜面変動計測と土質強度試験の結果を総合した計測数値に基づいた説得力ある地すべり危険度評価を実施し,大規模岩盤地すべりの危険度予測の一例を先進的に進めることが本研究の目的である。 佐々が会長を務める国際斜面災害研究機構(ICL,平成14年2月設立)はマチュピチュの地すべり危険度評価に関する国際共同研究を推進するため国際斜面災害研究計画(IPL)においてペルー,日本,イタリア,カナダ,チェコ,スロバキアの研究者らによる「C101-1:マチュピチュ遺跡における地滑りの調査」プロジェクトを発足した.佐々,福岡,王功輝(学振特別研究員)の3名はZvelabil氏の他,チェコ(1名),イタリア(4名),ユネスコ(1名)の専門家からなる国際調査団を組織し,9月27日に首都リマで開催されたペルー地質学会においてマチュピチュの地すべり危険度についての特別セッションとラウンドテーブルディスカッションセッションを開催した.両セッションにはペルー地質鉱物金属研究所,ペルー文化庁,自然資源庁,ペルー地球物理学研究所,クスコ大学らの専門家や学生ら約百名が出席し,上記調査団がこれまで実施した現地観測の結果から推定される危険度の評価,今後の観測計画について討議を行い,より精密な観測の実施が必要であるという結論に到達した.また10月6〜7日にかけてペルー文化庁クスコ支所の協力を得て本研究の主要な試験地であるマチュピチュ遺跡の地質地形調査と地すべり変状調査及び電子雨量計を設置し,長スパン伸縮計測線と光波測距側線,ボーリングの各位置を決めた。また,伸縮計データの収録・データ転送のための装置(トリダス)を4台試作し,その試験運用を実施している.なお,トリダスは野外設置し,耐用年数も長くないことから消耗品として購入した. 平成15年3月に京都大学においてC101-1運営会議を開催し,イタリア,ペルー,カナダ,チェコ,スロバキア,エジプト,ロシア,ユネスコからの代表者が集まり,ペルーの国家的プロジェクトとして推進するための打ち合わせを行った.
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