Research Abstract |
インカ帝国の空中都市遺跡として知られるペルー国クスコ州の険しい山の峰に建設されたマチュピチュ世界遺産を主な試験地として,斜面変動計測と土質強度試験の結果を総合した計測数値に基づいた説得力ある地すべり危険度評価を実施し,大規模岩盤地すべりの危険度予測の一例を先進的に進めることが本研究の目的である。 佐々が会長を務める国際斜面災害研究機構(ICL,平成14年2月設立)はマチュピチュの地すべり危険度評価に関する国際共同研究を推進するため国際斜面災害研究計画(IPL)においてペルー,日本,イタリア,チェコ,スロバキアの研究者らによる「C101-1:マチュピチュ遺跡における地すべりの調査」プロジェクトを発足した.佐々,福岡,王功輝の3名はZvelabil氏の他,チェコ(1名),スロバキア(2名),イタリア(12名)の専門家からなる国際調査団を組織し,9月14日〜30日にかけてペルーを訪問し,首都リマのペル文化庁,自然資源庁,外務省,ペルー地質鉱物金属研究所を訪問して研究成果,研究計画について討議した後,マチュピチュに移動し,各グループが持ち込んだ危機による計測,観測,調査を実施した.マチュピチュにはGPS3台,トータルステーション1台を持ち込み,設置場所の決定,現地の文化庁職員に設置方法と計測方法,データ取得方法についての説明を行った.現地での調査にはペルー地球物理学研究所,クスコ大学らの専門家,ICL会員機関でもあるクスコのGrudec Ayar社のCarreno氏らが参加した.また,クスコ市において関係諸官庁,市民団体に国際合同調査団がこれまで実施した現地観測の結果から推定される危険度の評価,今後の観測計画について討議を行い,より精密な観測の実施が必要であり,早急に伸縮計,GPS等の危機を設置すべきであるという結論に到達した.リマに戻った後,ペルー文化庁,自然資源庁,地球物理学研究所,地質鉱物金属研究所,クスコ大学の専門家が集まり,今回の調査団の成果について説明を行った. 平成16年1月に京都大学においてICL事務局会議と国際シンポジウムを開催し,これまでの研究成果に費え公表した.また,C101-1運営会議も併せて開催し,研究計画と推進方法についての討議,研究成果の発表方法,ペルーの国家的プロジェクトとして推進するための打ち合わせを行った.その結果を踏まえて平成16年度の調査計画を作成し,在東京ペルー大使館を通じてペルー文化庁へ提出した.
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