2005 Fiscal Year Annual Research Report
インカの世界遺産マチュピチュ都市遺跡の地すべり危険度調査
Project/Area Number |
14255010
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐々 恭二 京都大学, 防災研究所, 教授 (30086061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千木良 雅弘 京都大学, 防災研究所, 教授 (00293960)
福岡 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (40252522)
汪 発武 京都大学, 防災研究所, 助手 (10324097)
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助手 (50372553)
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Keywords | 岩盤地すべり / 文化遺産・自然遺産 / 危険度評価 / 国際研究者交流 / 多国籍 / ペルー・マチュピチュ / 国際斜面災害研究計画 / ハザードマップ |
Research Abstract |
インカ帝国の空中都市遺跡として知られるペルー国クスコ州の険しい山の峰に建設されたマチュピチュ世界遺産地区を主な試験地として地すべり危険度評価を実施し,大規模岩盤地すべりの危険度予測を先進的に進めることが本研究の目的である。現地調査に基づき、マチュピチュ遺跡が山稜に建設された理由は、この場所が過去の地すべりによって山稜が削られ、居住可能な平坦地形が形成されたこと、および地すべりのよって岩が破砕され山稜執念に農耕が可能な土壌が形成されたためであると推定した。また、マチュピチュ斜面では、ほぼ100m毎に斜面に平行な破砕面が走っており、最初の地すべり後の河川浸食により登山道ブロック(No.1)では、次の破砕面に沿って再度地すべりが発生し現在活動中であるのに対し、遺跡ブロック(No.2)は、地すべり前兆段階にあり破砕面にそった変形が徐々に進んでいると推定された(UNESCO Newsletterに発表)。これまでに登山道ブロックに設置した伸縮計の結果より、雨期には地すべり移動が観測され、乾期には停止することが見いだされた。マチュピチュ遺跡は、ペルー政府にとって経済・社会的に極めてセンシティブな問題であり、佐々らによる地すべりの危険性の指摘と伸縮計の観測結果が観光客を一時的に激減させ、現在危機に瀕する世界遺産リストに入ったため観光客の入場制限を検討していることなどから、遺跡中央部を横断する形での伸縮計設置は、2001年以来設置を認められなかったが、粘り強い必要性の説明と調査の進展により、平成16年度末までに遺跡中央広場を横断する伸縮計の設置とGPSの遺跡内への設置が実現し、本年も移動計測の継続を行った.本研究は国際斜面災害研究機構(ICL)の国際斜面災害研究計画C101-1「マチュピチュの地すべり調査」(Coordinator:佐々)に認定されているが、左記プロジェクトに参画するイタリア、チェコ、スロバキアおよびペルー文化庁他同国内関係各機関と共同で、現在までの調査結果についての成果報告会と現地見学会を現地の文化庁ホールにおいて9月に開催し、研究者、地元住民、自治体関係者ら多数が参加した。平成17年10月に米国ワシントンDCの全米科学アカデミーで開催した第1回ICL総会で成果を報告し、同時に佐々らが編集し、ドイツ・Springer社から発行した書籍の巻頭にC101-1の国際共同研究の成果を掲載した.平成18年1月に東京・国連大学で開催した円卓会議でも本研究成果はIPLの核となるプロジェクトであるとして高く評価された.
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Research Products
(5 results)