2003 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける蚊媒介性感染症の流行を左右する環境の定量的評価
Project/Area Number |
14256003
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高木 正洋 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60024684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 章 名古屋女子大学短期大学部, 栄養科, 教授 (30196761)
川田 均 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (80363480)
津田 良夫 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 第一室長 (20207393)
沢辺 京子 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 第二室長 (10215923)
吉村 光則 総合地球環境学研究所, 研究推進センター, 助教授 (70283661)
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Keywords | マラリア媒介 / 日本脳炎媒介蚊 / デング熱媒介蚊 / 東南アジア / 森林 / 稲作農村 / 都市化 / 環境変化 |
Research Abstract |
タイ北部の森林が良好に保全されている山間部では、継続的なマラリア媒介蚊防除にも拘わらず主要媒介蚊の密度が減少せず、結果的にマラリアの流行も持続することが航空写真と衛星画像の分析から確かめられ学術論文として公表された。同じく山間部のマラリア流行が深刻なインドネシア・ロンボク島のフィールドでは、初年度中に明らかになった主要媒介蚊Anopheles balabacensis sensu latoを中心に、水域の探索による生息範囲の広がりの確認と環境指標としての森林の鬱閉度との関係を精力的に調べた。その結果、調査地のAn。 balabacensis sensu latoは、上方空間の平均遮蔽率が50%を超えるような暗い森林内に幼虫、成虫とも生息し、そこから出ないらしいと推測された。また、今年度も6〜9月を中心に、この蚊からスポロゾイト陽性プールを8プール得た。一方、同所的に採集されたAn。balabacensis sensu lato以外のハマダラカからは未だに一切の陽性蚊は得られない。このことから調査地のマラリア媒介に与っているのはAn。balabacensis sensu latoであると結論づけても良いであろう。更に、この蚊の吸血ピークが日没後数時間内にあり、人嗜好性が強く、屋外吸血性であることも確かめられた。これは就寝時の蚊帳使用によるマラリアの感染防除効果を減ずる習性であり注目に値する。この事実を受け、ロンボク島では空間忌避剤による就寝前の屋外談笑時の吸血回避の可能性を探る基礎実験を始めた。ベトナムの日本脳炎媒介蚊の基礎研究では、初年度に従来の評価を過小と疑問視したCulex gelidusを含む屋内休息中の吸血イエカについてELISAによる吸血源の同定を行った。その結果、Cx. gelidusの吸血パターンは主要媒介蚊とされるCx. tritaeniorhynchusと酷似すること判った。また、ウィルス陽性の蚊も検出されたのでCx.Gelidusがかなり伝播に関与していることは間違いないと言えるところまで進捗した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hans J.Overgaard, B.Ekbom, W.Suwonkerd, M.Takagi: "Effect of landscape structure on anopheline mosquito density and diversity in northern Thailand : Implications for malaria transmission and control"Landscape Ecology. 18/6. 605-619 (2003)
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[Publications] Suwonkerd W., Overgaard, H.J., Tsuda Y., Chowprom, S., Tuno, N., Prajakwong S., M.Takagi: "Changes in malaria vector densities over a twenty-three year period in Mae Hong Son Province, Northern Thailand"Southeast Asian Journal of Tropical Medicine and Public Health. (Accepted). (2004)
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[Publications] Tsuda, Y., Maekawa, Y., Saita, S., Hasegawa, M., Takagi, M.: "Dry ice-trap collection of mosquitoes flying near a tree canopy in Nagasaki, Japan, with special reference to Aedes albopictus (Skuse) and Culex pipiens pallens Coquillett (Diptera : Culicidae)"Medical Entomology and Zoology. 54/4. 325-330 (2003)
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[Publications] Hu, X.M., Tsuda, Y., Takagi, M.: "Survival and development of larvae of three tropical malaria vectors (Diptera : Culicidae) under a seasonally changing temperature condition in Nagasaki, Japan"Medical Entomology and Zoology. 54/4. 371-379 (2003)