2004 Fiscal Year Annual Research Report
認識における超越論的立場と自然主義的立場との対立に関する概念史的・問題論的研究
Project/Area Number |
14310005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 道雄 神戸大学, 文学部, 教授 (80030518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉指 信夫 神戸大学, 文学部, 教授 (20264921)
松田 毅 神戸大学, 文学部, 教授 (70222304)
喜多 伸一 神戸大学, 文学部, 助教授 (10224940)
鈴木 泉 神戸大学, 文学部, 助教授 (50235933)
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Keywords | 超越論 / 自然主義 / 志向性 / 意味論的転回 / 根本的経験論 / 再認と再生 / 還元主義の誤謬 / 非超越論的現象学 |
Research Abstract |
本研究では認識における超越論的立場と自然主義的立場との対立を、概念史的・問題史的方法によって研究した。とりあげた哲学者は主として、スピノザ、カント、フッサール、ジェイムズ、ドゥルーズである。スピノザについては、自然主義的と解釈される彼の哲学における超越論的契機が、「原因」概念を中心に考察されている。カントについてはその超越論哲学の可能性が予定調和説という形而上学原理に依っていて、この形而上学的原理を避けるには自然主義的還元か、あるいは演繹論の意味論的転回をとる他ないことが論じられている。フッサールについては、最近の志向性概念の自然主義化の試みに対して、その「還元主義の誤謬」がD.W.スミスの議論を手がかりに批判的に論究され、志向性を自然主義的還元から守るために、それが因果的依存性と区別されるという主張に着目されている。ジェイムズに関しては、「非超越論的現象学」としてのジェイムズ根本的経験論とフッサール現象学との類似性および差異性を明らかにすることによって、「非超越論的」哲学の一つの可能性が、最近の研究成果をふまえながら探求されている。ドゥルーズについては現代フランス哲学における超越論的原理の考察という目的の下に、ドゥルーズにおける超越論的経験論の解明が試みられている。さらにこれらの研究に加え、実験科学である心理学の分野から、人間の記憶の再生と再認の比較に関する研究成果が寄与されている。この比較のために新しい方法が考案され、この方法によって、再認成績の方が再生成績よりもすぐれているという結果が判明した。この結果から,検索空間が同一であっても,検索の手がかりの差さえあれば,再認の方が再生よりも好成績となる知見が獲得された。
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Research Products
(11 results)