2002 Fiscal Year Annual Research Report
『易』の起源・成立及びその解釈の歴史的展開に関する研究
Project/Area Number |
14310007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊東 倫厚 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80012459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 浩之 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60322773)
ゆはず 和順 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80210590)
佐藤 錬太郎 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40196291)
室谷 邦行 北海道工業大学, 教養部, 教授 (50210076)
水上 雅晴 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (60261260)
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Keywords | 易 / 易学哲学史 / 朱伯崑 / 帛書周易 / 十翼 / 先秦 / 国際情報交換 / 中国 |
Research Abstract |
本年度は、従来の研究を総括するため、朱伯崑『易学哲学史』の翻訳を機軸として、易学文献データの整理、関連資料の訳注・翻訳の作業を進めた。ほぼ毎週一回、訳注検討会を開き、ほぼ毎月一回、研究例会を開いた。その都度、資料の蓄積、分析の深化、成果の確認と計画の推進をはかってきた。 各研究分担者は、主に時代ごとに分担して研究を進めている。具体的には<先秦>を伊東倫厚・近藤浩之、<前漢><後漢>をゆはず和順、<魏晋>を室谷邦行、<隋唐>を末岡実、<北宋>を山際明利、<南宋>を名畑嘉則、<元明清>を佐藤錬太郎・小幡敏行・水上雅晴が担当し、伊東倫厚が全体を統括している。 特に、朱伯崑元著・伊東倫厚主編・近藤浩之責任編輯『易学哲学史』<第一編 先秦時代>を刊行したことは、本年度の顕著な研究実績である。朱伯崑氏の易学哲学史研究は、方法論上はもとより、内容上も、いずれも終始、緊密に二十世紀の中国学術の発展の主流の精神に合致しており、その著作『易学哲学史』は、易学を軸として中国哲学を通史的に研究した成果で、それ自体が中国哲学史の傑作である。翻訳により、それがより一層明らかとなり、さらに馬王堆帛書『周易』に関する論文三篇を附録として加え翻訳したことにより、先秦時代部分の易学研究の確固たる基盤を提供することができた。具体的に言えば、『易』の起源、その構成・構造、易学の成立に関する、基礎的な文献資料・出土資料の総合的な解釈と、その中国哲学史上における意義とが、明瞭になった。 本年度中には完成を見なかったが、間もなく両漢時代、魏晋隋唐時代、南宋時代の各編が刊行できる見込みである。訳注作業の成果は、爾後、<第一編 先秦時代>と同様の体裁・規模に依り、必ずしも時代順ではなく、推敲し終えた部分から公表する。原著全四巻に対する訳注の公刊は、いずれ十数冊に分割されることになろう。 また、すでにこの訳注作業を通して、『易』の解釈の歴史的展開に関する新たな問題点や視点が浮き彫りになりつつある。今後は、各研究分担者がそのような点を詳細に調査し深く考察して、論考を発表する準備を進めていることを附言しておく。
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Research Products
(1 results)