2005 Fiscal Year Annual Research Report
イスラーム教と接触以後の南アジア諸宗教の相互関係に関する研究
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14310011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永ノ尾 信悟 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (40140959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 明 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80170489)
高島 淳 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40202147)
島 岩 金沢大学, 文学部, 教授 (40115580)
森 雅秀 金沢大学, 文学部, 助教授 (90230078)
引田 弘道 愛知学院大学, 文学部, 教授 (00192287)
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Keywords | ヒンドゥー教 / 仏教 / タントラ / 密教 / 変容 / 思想交流 |
Research Abstract |
1.2005年10月3日から5日の3日間にInternational Workshop on Tantrism 2005を開催した。Prof.A.Sanderson(イギリス),Prof.F.Sferra(イタリア),Prof.H.Isaacson(合衆国),Dr.D.Goodall(インド)をはじめ、日本人研究者6名が研究発表を行った。ヒンドゥータントラ、仏教タントラの諸文献をテーマに幅広い研究発表が行われ、タントラ運動の形成から両宗教間の交流に関して活発な議論が行われた。 2.研究分担者や研究協力者がそれぞれ専門にする文献の内容目次を作成し、検討を行った。それぞれの文献により中心的な神格は異なるが、それぞれの神格は独特な複数のマントラを持ち、それぞれの文献が記述するタントラ的な儀礼は、それらのマントラを主として用い、供物などの儀礼要素を微妙に変えることにより、さまざまな目的のために変化形を形成していったことが明確になってきた。このように一定のマントラをさまざまな目的に用いるという儀礼形態はヴェーダ文献のタイッティリーヤ・サンヒター3,4,8と3.4.9に既に例を見ることができるものである。 3.仏教タントラ文献に見られるヒンドゥー的な要素を分析すると、多くの場合、シヴァとその配偶女神を中心とするヒンドゥー教の要素が最も顕著に見られ、仏教タントラの形成に、シヴァ教的な流れが深く関わっていたことが推測できる。 4.本研究の対象の中心であった、現存しない文献『アムリタクンダ』のペルシア語訳の最も古いもののサンスクリット原典はカーマルーパパンチャーシカーと呼ばれていたこと、また内容的にはスヴァローダヤと呼ばれる一群の文献に最も類似していることなど、『アムリタクンダ』の原像に関してかなり多くのことが明らかになった。
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Research Products
(7 results)