2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 守通 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40214407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 誠一 法政大学, 第一教養部, 教授 (10166613)
大森 正樹 南山大学, 人文学部, 教授 (70132264)
岡崎 文明 金沢大学, 教育学部, 教授 (20117005)
堀江 聡 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (40238788)
今 義博 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (30115315)
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Keywords | 新プラトン主義 / 人間観 / プラトン / 古代哲学 / 中世哲学 / 近代哲学 / ビザンチン哲学 / イスラム哲学 |
Research Abstract |
平成14年度は、補助金交付を受けた最初の年ということもあって、各研究者が研究に必要な図書や機器の購入し、さらには資料収集や情報交換を積極的に行うことを通じて、今後の研究の土台を確立することに専念した。また、9月には南山大学で行なわれた新プラトン主義協会の第9回大会の際に互いの研究の成果と方向を確認し合った。具体的には、加藤守通がブルーノを中心としたルネサンスの人間観を、山口義久がアリストテレスとストア派の人間観へのプラトンの影響を、奥田和夫がプラトンの人間観とヘレニズム思想を、堀江聡が古代末期新プラトン派内の人間観をめぐる論争を、松崎一平がプラトニズムとアウグスティヌスの『告白』の形成を、岡崎和子がアウグスティヌスの人間観を、岡崎文明がプロクロスとトマスの人間観を、小浜善信がプラトンと中世キリスト教思想家たちにおける人間観を、大森正樹がビザンチンの人間観を、野元晋がシーア派イスラムにおける新プラトン主義の受容と展開を、根占献一がフィレンツェ・ルネサンスにおける人間観を、伊藤博明がジョヴァンニ・ピーコの人間観を、山口誠一がドイツ観念論の人間観におけるプラトニズムの影響を、田中敏彦が新プラトン主義とフランス現代哲学をテーマに研究を進めた。これらの研究を通じて、プラトンに端を発しプロティノスによって確立された新プラトン主義の人間観が宇宙論や社会論、言語論や自然論と緊密に結びついた包括的なものであること、そしてそれが西洋古代や中世のみならず、イスラムや西洋近代、そして現代に至る哲学や芸術に多様な形で影響を及ぼしていることが明らかになった。
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Research Products
(22 results)
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[Publications] 加藤守通: "薬としてのロゴス-西洋教養史におけるレトリック・ヒューマニズム的伝統の再考"近代教育フォーラム. 第11号. 47-58 (2002)
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[Publications] 加藤守通: "コミュニティーの人間形成論"教育哲学研究. 第87号(近刊). (2003)
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[Publications] 山口義久: "懐疑の哲学的意義"アルケー. 2002. 16-28 (2002)
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[Publications] 奥田和夫: "正しい人の快楽-プラトン『国家』第九巻における快楽論の意味-"法政大学文学部紀要. 第48号. 17-29 (2003)
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[Publications] 奥田和夫: "プラトン『国家』における「善のイデア」をめぐって-現代的解釈とプロティノスの解釈"新プラトン主義研究. 第2号. 33-46 (2003)
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[Publications] 堀江聡: "アラビア語版『神学論攷』"慶應義塾大学日吉紀要・人文科学. 17. 157-187 (2002)
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[Publications] 堀江聡: "アラビア語版『アリストテレスの神学』序文・問題一覧"慶應義塾大学日吉紀要・人文科学. 17. 189-211 (2002)
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[Publications] 今義博: "因果性小考-エリウゲナにおける新プラトン主義的要素の研究-"山梨大学教育人間科学部研究報告. 第3巻第2号. 145-152 (2002)
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[Publications] 今義博: "エリウゲナのコギトー"中世哲学研究. 第21号. 1-12 (2002)
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[Publications] 岡崎文明: "新プラトン主義研究の基本的観点"新プラトン主義研究. 創刊号. 3-7 (2002)
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[Publications] 岡崎文明: "西洋哲学史におけるニーチェとSacra Scriptura(一)"金沢大学教育学部紀要. 第52号. 81-92 (2003)
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[Publications] 岡崎文明: "西洋哲学史におけるニーチェとSacra Scriptura(二)"金沢大学教育学部紀要. 第52号. 71-80 (2003)
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[Publications] 小浜善信: "永却回帰-輪廻と再生の時間構造-"神戸外大論叢. 53・5. 57-74 (2002)
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[Publications] 小浜善信: "トマスにおける発出と創造"新プラトン主義研究. 創刊号. 33-53 (2002)
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[Publications] 大森正樹: "祈りの系譜(7)ヘカシズム研究-ヨアンネス・クリマクス(1)"エイコーン. 第25号. 33-50 (2002)
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[Publications] 大森正樹: "祈りの系譜(8)ヘカシズム研究-ヨアンネス・クリマクス(2)"エイコーン. 第26号. 21-39 (2002)
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[Publications] 野元晋: "An Ismaili Thinker on the Prospects in the Cosmic Correspondence : Translation of the Kitab al-Islah by Abu Hatim al Razi I"Reports of the Keio Institute of Cultural and Linguistic Studies. 33. 275-308 (2002)
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[Publications] 根占献一: "ルネサンス史の中の日本-近代初期の西欧とアジアの交流"芸林. 第52号(近刊). (2003)
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[Publications] 山口誠一: "絶対概念の原点-青年期ヘーゲルの論理学-"ヘーゲル論理学研究. 第8号. 7-21 (2002)
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[Publications] 山口誠一: "ヘーゲルの『本質としての本質』-イエーナ『哲学史講義』自筆草稿を求めて-"法政大学教養部紀要. 第121号. 29-44 (2002)
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[Publications] ヌッチョ・オルディネ著, 加藤守通訳: "ロバのカバラ -ジョルダーノブルーノにおける文学と哲学"東信堂. 230 (2002)
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[Publications] クリュシッポス著, 山口義久訳: "初期ストア派断片集3"京都大学学術出版会. 486 (2002)