2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310027
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
上村 博 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (20232796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 直恵 京都造形芸術大学, 芸術学部, 講師 (30330054)
水野 千依 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40330055)
松原 哲哉 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (60351368)
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Keywords | 都市景観 / 都市表象 / 風景画 / ルネサンス / 都市計画 / カルトグラフィー / 美術史 / 芸術学 |
Research Abstract |
平成14年度の本研究は、特に西欧近世から近代にかけて、都市の景観がどのような表象化を経てきたのかが中心的な検討内容となった。ヨーロッパで風景表現が行われるようになるのは東洋に比べて遅いという通念があるが、それには自然を主題とした描写に限るという保留が必要であって、都市の構造物や都市平面図、俯瞰図の表現に関しては、西洋ではむしろ自然景観に先んじて発達しており、その特徴として、現在のところ、以下の着目すべき点が浮上している。1、個人と共同体との関係の成立:都市表象の条件としては、巡礼の必要や都市国家の自己顕示なども考えられるが、重要なのは、唯名論的な思考法が定着して、被造物の世界あるいは人間の制作物が関心をもって描写されるようになることである。都市を社会経済活動の領域とする人間が共同体を形成することで、形而上形而下の世界をイデオグラム的に図示するだけでなく、生活圏の表象を積極的に行う必要も生じてくる。そしてこれは視点の問題にもあらわれてくる。2、都市に向かう視点の下降:都市が城塞であって、壁に取り囲まれたurbsであったときから、都市はその他の地域から画然と区別される領域を持っていた。しかし、その画像表現は線遠近法の普及と前後して、ほぼ人間の視点に近い低さをもつようになる。そのことはやがて都市内の構造物のファサード重視にも繋がってくる。3、画像表現普及の影響:2の観点と関連して、画像が建築物に影響したことが考えられる。建築や都市が画像化され、その画像が広く普及することにより、却って建築や都市の設計において再現画像が規範的な力を持った。これが甚だしい場合には、画像としての機能を重視するあまりに、構造物としての機能を犠牲にする場合も生じた。記念物建築の流行は画像の流通が促進したとも言える。 今後は以上の線をさらに延長して、都市像の変遷の実際例をとりあげつつ、結節点を見つけていきたい。
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Research Products
(2 results)