2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310027
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
上村 博 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (20232796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 直恵 学習院女子大学, 国際文化学部, 講師 (30330054)
水野 千依 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40330055)
松原 哲哉 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (60351368)
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Keywords | 都市景観 / 造園 / 風景画 / 17世紀 / 都市計画 / カルトグラフィー / ピクチャレスク / 近代 |
Research Abstract |
平成15年度の本研究は、特に1)日本と西洋の造園術における建築物(および自然景観)の絵画的表現との比較を行ったほか、2)地図や絵図での都市や建築物の描写法の多様性と変遷を辿った。このなかで、1)前者に関しては、年度前半に研究代表者がパリのフランス建築学会およびヴェルサイユの国立建築学校で成果発表を行ったが、そこでは、次の3点が指摘された。自然の視覚対象化という点での庭園術は、日本ではすでに平安期の浄土式庭園にも画像としての建築物の設営が見られ、また15世紀の禅宗寺院の作庭においても絵画的な指向が強く見られるが、しかし17世紀以降、自然や人工物を一種の雛形として典型的景観の引用が盛んに行われるようになるという点、次に、そのような擬似景観の流行は、ピクチャレスクと呼ばれる西洋、なかでもイギリスに顕著な景観美学に類似した近代的な芸術観が成立して可能になったという点、最後に、明治後期から大正期の日本の景観行政が、地方-国土の関係内に各地の景観を目録化することで、洋風建築の導入以上に、領土の統一を図ったが、実際にはそのような景観受容の仕方にはきわめて個人主義的な契機も潜んでいた点である。2)地図や絵図での都市の描写については、平成16年度にも継続して研究がなされる予定であるが、現在のところ、日本の絵図の建築物描写にしばしば見られる逆遠近法や建造物の配置の仕方にそれなりの合理性がある点、また、俯瞰図法が日本と西洋で同様に発達した17世紀の画像を比較検討した結果、日本での俯瞰図法が名所の伝統を精巧にとりこみながら選択的な都市景観を構築するという課題を画面上で如何に解決したかという点について知見が得られた。
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Research Products
(2 results)