2003 Fiscal Year Annual Research Report
認知的および情動的ストレス状況におけるワーキングメモリのはたらき
Project/Area Number |
14310042
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮谷 真人 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (90200188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島津 明人 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (80318724)
中條 和光 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (90197632)
深田 博己 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10112161)
中尾 美月 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (70332799)
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Keywords | ワーキングメモリ / タイムプレッシャー / 事象関連電位 / 状態不安 / 感情的反応 / 説得的コミュニケーション / 眼球運動 / 自己関連処理 |
Research Abstract |
1.タイムプレッシャーが認知過程に及ぼす影響について,反応選択課題における事象関連電位のP300とLRPを指標として調べた。刺激評価の難易度により,タイムプレッシャーがP300潜時に及ぼす影響が異なり,刺激評価が困難な場合にのみ,タイムプレッシャーにより刺激評価過程が短縮されるごとがわかった。また,刺激と反応のマッピングの難易度により,タイムプレッシャーがLRPに及ぼす影響が異なり,マッピングが困難な場合にのみ,タイムプレッシャーにより反応準備から反応出力までの時間が短縮された。 2.状態不安と読みの補償方略との関係について検討した。文章の読みにおける補償的方略の使用,状態不安の程度,およびワーキングメモリ容量との関係について眼球運動を指標として調べた結果,ワーキングメモリ容量の大きな読み手であっても,状態不安が喚起されると,容量の小さな読み手と同様の読み方略を用いることが明らかとなった。 3.社会的影響行為に当たるコミュニケーションとして,主に説得的コミュニケーション,承諾獲得方略,対人葛藤解決方略を取り上げ,それらの使用あるいは効果を規定する要因を特定し,コミュニケーションの使用あるいはコミュニケーションの効果をもたらす生起機制に関して,認知的反応と感情的反応の両面から解明した。 4.不安とノイズがパフォーマンスに及ぼす影響の背景にある過程と,自己関連処理との関連性の有無について,自己関連付け効果の大きさを指標として調べた。その結果,不安喚起が小さい群では自己関連付け効果が認められたのに対し,不安が大きく喚起された群では認められなかったことから,不安の喚起量が自己関連処理と関係していると推測できた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 湯永隆, 深田博己, 周玉慧: "在日中国系留学生のサポート獲得方略の使用に及ぼす課題達成動機と関係維持動機の影響"留学生教育. 8. 241-259 (2003)
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[Publications] Shimazu, A., Kosugi, S.: "Job stressors, coping, and psychological distress among Japanese employees : Interplay between active and non-active coping"Work & Stress. 17. 38-51 (2003)
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[Publications] Ono, F., Kawahara, J., Matsuda, F.: "Previous subthreshold exposures reduce perceived duration"Current Psychology of Cognition. (in press).
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[Publications] 小野史典, 鍋田智広, 河原純一郎: "視覚的印付けされた刺激配置は文脈手がかりとなりうるか?"心理学研究. (印刷中).