2002 Fiscal Year Annual Research Report
「文化を作る能力」の進化的・適応的成立基盤に関する研究
Project/Area Number |
14310048
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
亀田 達也 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20214554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
結城 雅樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 講師 (50301859)
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Keywords | 文化学習 / 適応 / 行動戦略 / 進化 / 進化ゲーム / モデル / 実験 |
Research Abstract |
本研究は、人間および高等霊長類の一部に特有とされる「文化を作る能力」の成立基盤について、適応的な視点から検討を加えようとするものである。近年の霊長類学は、近縁の霊長類においてこれまで「文化的行動」と見なされていた行動パターンの多くが、必ずしもヒトの文化的行動とは連続的につながらない可能性を明らかにしている。例えば、広く知られている、ニホンザルの「芋洗い文化」やチンパンジーの道具使用についても、そうした技術自体が文化的に伝達されるのではなく、他者に刺激された個体が、試行錯誤により技術を個人的に学習しているにすぎないという見方がある。こうした観察は、模倣や社会的学習といった「文化」を支える基礎的な能力が近縁種に広く通有のものではなく、人間(あるいは高等霊長類の一部)に限定された、特殊な認知能力である可能性を強く示唆している。本研究は、こうした、認知能力間の適応的な相互依存関係・ダイナミズムに注目する。具体的には、(a)進化ゲーム・進化シミュレーションと呼ばれる数理解析手法を用いて、摸倣や社会的学習を含むさまざまな「文化的認知特性」間の適応的な相互依存関係を理論的に定式化し、(b)そこから導かれた命題を心理学実験により組織的に検証する。平成14年度は、15年度、16年度の実証的研究の前哨となる、理論モデルの開発を行った。具体的には、不確実環境下でどのような学習戦略が適応的となるかについて、進化ゲームモデルを用いて定式化し、その進化可能性をコンピュータ・シミュレーションにより理論的に検討した。また、文化心理学の視点からこうした理論モデルの妥当性を批判的に吟味した。また、次年度以降の本格的な実証的検討を準備するために、LANによって接続されたネットワーク型移動実験コンピユータ・システムを構築した。このシステムの作動を確認した上で、理論モデルから導かれた命題の予備的に検討するための心理学実験を実施した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kameda, T., Nakanishi, D.: "Cost-benefit analysis of social/cultural learning in a non-stationary uncertain environment"Evolution and Human Behavior. 23・5. 373-393 (2002)
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[Publications] 亀田達也: "人間行動生態学と進化心理学-適応的視点の意義と両者の関係をめぐって"児童心理学の進歩. 41. 313-317 (2002)
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[Publications] Kameda, T., Takezawa, M., Tindale, R.S., Smith, C.: "Social sharing and risk reduction : Exploring a computational algorithm for the psychology of windfall gains"Evolution and Human Behavior. 23・1. 11-33 (2002)
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[Publications] 中西達也, 亀田達也: "文化の進化"言語. 31. 12-15 (2002)
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[Publications] 佐伯胖, 亀田達也: "進化ゲームとその展開"共立出版. 310 (2002)