2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楠見 孝 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (70195444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 侯彦 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (70286136)
栗山 直子 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (90361782)
上市 秀雄 筑波大学, 社会工学系, 講師 (20334534)
齊藤 貴浩 大学評価・学位授与機, 構・評価研究部, 助教授 (50302972)
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Keywords | 意思決定 / 進路選択 / 後悔 / 進路指導 / 原因帰属 / 大学受験 / 高校生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第1に、高校生の進路決定プロセスを、第2に、決定前後の認知的感情的変化を追跡調査によって検討することである。そこで、前年から継続して、同じS県立高校3年生に対して、11月に進路選択に関する質問紙調査を実施し、卒業した年の夏に、追跡調査を質問紙法で行った。主な結果は以下の3つである。第1に、進学理由(進路選択の際に考慮する項目)と考慮条件(学校選択の際に考慮する項目)について、大学入学前の進路選択時と、大学入学後において、それらの項目を重視する度合い(選択時の基準)の変化について明らかにした。その結果、進学理由については重視する程度に大きな変化はないものの、考慮条件については変化していることが明らかになった。全体として重視する程度が高まる傾向にあり、それは学校の環境、友人関係、就職や将来展望、物理的条件、学習内容等に顕著であった。第2に、より詳細に高校生の進路の意思決定過程を明らかにするため、最終的な決定についての自由記述の分析を行った。最終決定した理由の記述を、「様々な条件」「自己実現」「迷いなし」「合格可能性」「その他」に分類した。また、同じ条件が最終決定を行う際の決め手になっていても、なぜそれが決め手になるのかという理由については異なっており、多くの条件において、ポジティブな理由とネガティブな理由の両者がみられた。第3に、高校卒業後の追跡調査において現在の進路先(大学および浪人)に関する回答を分析した結果、その結果、大学進学者だけでなく、浪人生も浪人したことに対して肯定的にとらえていた。しかも、「浪人したら、自分の能力が向上すると期待している」、「浪人は、予想していたよりも、考えていなかった多くのよい点があると思っている」などのように、浪人することによって様々な価値を見出し、また浪人した経験を今後の人生に生かそうと考えていることがわかった。
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