2003 Fiscal Year Annual Research Report
認知リハビリテーションによる自立高齢者の痴呆予防に関する介入研究
Project/Area Number |
14310063
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大川 一郎 立命館大学, 文学部, 助教授 (90241760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 能行 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (00191809)
土田 宣明 立命館大学, 文学部, 助教授 (40217328)
吉田 甫 立命館大学, 文学部, 教授 (80094085)
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Keywords | 認知リハビリテーション / 音読・計算 / 認知機能 / 抑制機能 / 日常生活 / 高齢者 / 痴呆症者 |
Research Abstract |
2003年度では、音読計算を課題として行う認知リハビリテーション(以下、学習療法という)が効果をもつ要因について検討を加えた。前年度の知見から、学習療法が効果をもつ要因としては次の2つが考えられた。1つは課題の学習そのものによる効果、もう1つは対象者とのコミュニケーションによる効果である。今年度は、この要因のいずれが高齢者の認知機能及び日常生活活動状況を改善するかを検討した。そのために、6ヶ月にわたり、以下の4群を設定して研究をおこなった。 1群(自己学習群):フィードバックなしに音読・計算課題のみ実施した。 2群(消極的対話学習群):この群では、課題の実施に加え、課題に関連したコミュニケーションを実施した。 3群(積極的対話学習群):2群の要素に加えて、さらに課題に関連するコミュニケーションを積極的に導入した。 4群(対照群):この群は、介入はいっさいおこなわず、査定のみを実施した。 以上4群に関して,定期的な認知機能及び日常生活活動状況の査定を行い,効果の違いを検討した.使用した査定方法は、前頭葉機能に特化した検査であるFAB、認知機能全般を測定するMMSEである。また、日常生活活動状況については、独自に尺度を開発した。これらを開始直後、開始3ヶ月後、開始6ヶ月後に実施した。その結果、FAB、MMSEともに2群で6ヵ月後に得点の有意な上昇が確認された。その他の群では得点の有意な得点の上昇がみられなかった。このことより、課題の遂行と並行して、課題に関連したコミュニケーションをとることの効果が確認されたといえる。前頭葉機能に関しては、新たにSimon課題を用いて詳細に検討した。その結果、FABの下位項目の分析から確認されたように、抑制機能が学習療法実施群で有意に上昇していた。逆に、対照群では抑制機能の有意な低下が確認された。日常生活活動状況については、統計上、顕著な変化はみられなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 吉田甫, 大川一郎, 土田宣明: "痴呆を伴う高齢者に対する認知リハビリテーションの効果に関する予備的研究"立命館大学人間科学研究. 6. 1-9 (2003)
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[Publications] 大川一郎, 吉田甫, 土田宣明: "高齢者を対象とした音読・計算による認知リハビリテーションの試み"日本老年行動科学会大6回大会論文集. 31 (2003)
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[Publications] 土田宣明, 大川一郎, 吉田甫: "高齢者を対象とした認知リハビリテーションの試み(1)-MMSとFABによる効果の検討-"日本心理学会第67回大会発表論文集. 298 (2003)
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[Publications] 大川一郎, 土田宣明, 吉田甫: "高齢者を対象とした認知リハビリテーションの試み(2)-日常生活への効果の検討-"日本心理学会第67回大会発表論文集. 299 (2003)
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[Publications] Yoshida, H., Okawa, I., Tsuchida, N.et al.: "Effect of Communication in Learning Therapy : Psychological Research"Second International Symposium for Learning Therapy. (未定). (2004)