2004 Fiscal Year Annual Research Report
ドライバーのための「セルフコントロール能力」教育の開発
Project/Area Number |
14310066
|
Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小川 和久 広島国際大学, 人間環境学部, 助教授 (00224098)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 博雄 東北工業大学, 工学部, 教授 (90077503)
|
Keywords | セルフコントロール / 運転者教育 / 運転適性検査 / 自己評価スキル / ストレスコーピング / 情動マネジメント |
Research Abstract |
本研究の目的は,自己コントロールに焦点をあてたドライバーのための安全教育法を開発することである.近年提唱された運転者行動の階層モデルに従えば,運転操作・危険予測スキルは下位のスキルに位置づけられるため,これらの学習だけではドライバーの運転者行動は安全なものにはならない.最上位で機能する自己コントロールスキルの教育訓練が必要であり,自己の行動の姿を客観視する能力が求められているのである.とくに情動経験が運転に及ぼす影響は大きい.イライラ,焦燥感,怒りといったネガティブな情動は,不安定な意識状態を生み出し危険行動を惹起する.ネガティブな情動をマネジメントするためのスキルが個々のドライバーに求められており,そのための教育手法と理論を確立しなければならない. 今年度は開発中の運転適性検査を用いて,情動マネジメントスキルに関する基礎データを詳細に分析した.その結果,次に示すような若年ドライバーの問題性が見出された.第一に若年層は焦燥感・イライラ感・怒りなどのネガティブな情動を経験しやすい,第二に時間的プレッシャーを感じる状況下で焦燥感を喚起しやすい,第三に自己中心的なイライラを感じた後,リスクテイキング行動を敢行しやすいことである.これらの結果は,自己コントロール教育の対象者を若年者に絞り込むことで,効果的な教育運用が可能であることを意味している.とくに情動マネジメントを促す教育手法が有効であるとの示唆が得られた. 上述した研究成果を公表するため,海外で開催された二つの国際学会にて発表を行った.一つはフィンランド心理学会(Psykologia 2004)にて,もう一つは第3回交通心理学国際会議(ICTTP2004)での発表であった.近年の心理学では情動が大きな研究テーマとなりつつあり,ドライバーの情動マネジメントの問題も解決を要する重点課題であることを確認することができた.
|
Research Products
(2 results)