2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大沢 真理 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (50143524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 祐子 日本大学, 経済学部, 助教授 (40286191)
グレンダ ロバーツ 早稲田大学, アジア太平洋研究センター, 教授 (40308242)
田中 和子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (60217015)
合場 敬子 明治学院大学, 国際学部, 助教授 (50298056)
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Keywords | ジェンダー / ニュー・エコノミー / グローバル化 / 規制緩和 / 再規制化 / 福祉国家 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究では、2003年4月と同6月にヨーロッパで主要メンバーによる打ち合わせ、中間成果報告をおこない、2003年9月末にブレーメン大学、2004年3月初めに日本国内で、海外共同研究者との研究会を集中的に開催した。また、研究の成果を広く社会に還元し、研究グループ外部からの意見等を反映するべく、2004年3月4日に東京大学において、公開シンポジウム「グローバル時代の「ニュー・エコノミー」-日米欧の比較ジェンダー分析II」を開催した(第18回東大社研シンポジウム)。 本研究は、経済グローバル化のもとで、「ニュー・エコノミー」として生じているとされる産業構造や労働組織など変化について、英、独、米および日本について、ジェンダー関係との関連を比較分析するもの。たとえば、産業や労働の組織の「フラット化」や「柔軟化」が語られながら、じつは社会的格差の拡大が懸念されること、また、近年の規制改革や福祉国家改革のベクトルでも、規制緩和や民営化ばかりではなく、再規制化やセーフティネット強化の要素が見逃せないこと、これらの事象のいずれもジェンダー関係と交差していること、が指摘される。対象4国は、今日の世界経済で大きな比重をもち、かつ相互に意味ある好対照をなしている。なにより4つの国は、異なる性格のジェンダー・レジームを持っている。アメリカは女性の就業を促進する方向に最も進んでおり、日本は女性の世帯内役割を最優先するジェンダー・レジームであるように見える。福祉と産業労働、家庭を横断するジェンダー・レジームは、収斂しているのか、あるいは強い経路依存性のもとで分岐しているのかなどの論点が、本研究で解明されてきた。 国レベルの制度ばかりでなくミクロレベルでも、仕事と子育ての両立支援に関する公私の制度の利用実態、および家庭内ジェンダー関係について、詳細な聞き取り調査を行い、社会学的文化人類学的分析を進めてきた。(798字)
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大沢 真理: "働く女性と税制・社会保障"現代のエスプリ 仕事と家庭の両立. 4月号. 184-197 (2003)
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[Publications] 橘木 俊詔, 大沢 真理: "これまでの年金、これからの年金"季刊家計経済研究. 60号. 2-10 (2003)
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[Publications] Mari Osawa: "How has the Lost Decade Started? - Issues of the "Corporate Centered Society" and its Reforms in the Early 1990s"Women in Japan and Sweden ; Work and Family in Two Welfare Regimes, (eds.) by le Grand, Carl & Tsukaguchi-le Grand, Toshiko. 45-62 (2003)
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[Publications] 大沢 真理: "個人の働き方に中立的な年金制度を"論座. 2004年1月号. 72-78 (2003)
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[Publications] 大沢 真理: "福祉国家とジェンダー"明石書店. 256 (2004)