2005 Fiscal Year Annual Research Report
輸入血液製剤によるHIV感染被害問題の社会学的研究
Project/Area Number |
14310076
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
栗岡 幹英 奈良女子大学, 文学部, 教授 (20145155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘭 由岐子 神戸市看護大学, 看護学部, 助教授 (50268827)
種田 博之 産業医科大学, 医学部, 講師 (80330976)
西田 芳正 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (10254450)
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
好井 裕明 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (60191540)
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Keywords | HIV / AIDS / 血友病 / 聞き取り調査 / アクティブ・インタビュー / HIV薬害 / 医師調査 |
Research Abstract |
本研究は、単なる被害実態調査でなく、非加熱輸入血液製剤によるHIV感染問題の全体像について社会学的に接近するために計画された。感染患者にたいしてこの製剤を使用した医師への聞き取り調査を中心に、感染患者やカウンセラーなど、関係者のインテンシブな聞き取りをおこなった。うちわけは、医師が9名、感染患者が4名、被感染血友病患者が1名、カウンセラーが2名となっている。ただし、得られた.語りのすべてが使用許可を得たわけではない。 当初は20名程度の医師の聞き取り調査を行いたいと考えていたが、実際に語りを得ることができた医師は少数である。これは、私たちの予想以上に医師の許諾を得ることが難しかったことによる。その理由は、医師の立場によってさまざまであろう。どのような理由であれ、現在でも患者と比較的良好な関係を保っている医師の場合には、かなりお話をうかがうことができたが、患者から厳しく批判された医師には拒絶されることが多かった。また、一部の医師からは、この調査が患者のためになるかどうかかわからないとか、当時あまり血友病患者およびHIV感染者の診療にあたっていなかったと、非許諾の理由が示されたことがある。 しかし、当初想定していたより少数であったとはいえ、許諾いただいた医師からは血友病治療の進展とHIV感染問題の実際、およびこの事件の社会的な意味などについて、貴重な発言を得ることができた。たとえば、血友病患者のHIV感染が痛ましいことであったとしても、少なくとも83年までは医師にとって当時それを防ぐような有効な手段を見いだしがたかったこと、自己注射と包括医療によって血友病治療が進展したまさにその時期にこの問題が生じたことに痛恨の思いでいることなどである。 得られた語りについて分析した結果は、2003年6月および2005年3月に別資金で発行した報告書に掲載した。この2冊の報告書に載せられたほとんどの論文は、科研報告書の中に再録する。
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Research Products
(2 results)