2004 Fiscal Year Annual Research Report
フォーマライゼーションによる社会学的伝統の展開と現代社会の解明
Project/Area Number |
14310084
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三隅 一百 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (80190627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高坂 健次 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60027977)
小林 淳一 福岡大学, 人文学部, 教授 (20113243)
久慈 利武 東北学院大学, 教養学部, 教授 (40024484)
長谷川 計二 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00198714)
木村 邦博 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80202042)
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Keywords | 社会学理論 / フォーマライゼーション / 現代社会問題 / 数理社会学 |
Research Abstract |
平成16年度は本プロジェクトの最終年度として、<社会学的伝統の展開>側面で共同研究の成果を固めつつ、その成果をふまえた<現代社会の解明>を各メンバーが論文執筆の中で試みた。 まず6月に、前回プロジェクトからの継承課題であった一般書による成果発表を、『社会学の古典理論:数理で蘇る巨匠たち』(勁草書房)の刊行をもって達成した。9月に全体研究会(仙台)を開催し、この一般書成果をふまえつつさらに社会学的伝統の数理社会学的展開をはかるために、主として以下のポイントを議論した。(1)社会関係・社会集団をめぐる社会学の伝統的議論における理論的不備。そのいくつかの論点は社会ネットワーク論を軸としたフォーマライゼーションによって展開しうること。(2)功利主義と理念主義が乖離する行為論の伝統的議論の問題。そのいくつかの論点は、合理的選択理論に信頼、連帯、社会関係資本の概念を組み入れたフォーマライゼーションによって展開しうること。さらに、(3)これらのモデル展開の相互の近接性。そこからみえてくる、行為と社会関係という2つの最重要基礎概念を統合的にとらえる理論構築の可能性。こうした確認をふまえて、各班で検討してきた現代的問題群から各自がトピックスを選定し、分析と論文執筆を進めた。平成17年1月の全体研究会(大分)でその成果をもちよって相互にレビューを行い、さらに改訂・再分析を進めた。3月にそれらを研究成果報告書としてそして3月にオランダで国際会議を開催し、いくつかの完成論文を公表するとともに、国際的レビューを受けた。 数理社会学的な<現代社会の解明>を<社会学的伝統の展開>に基礎づけることで、分析の深化と理論的統合化をはかる。この目標を十分に到達できなかったという反省は残るけれども、国際的に高い評価を受けたオリジナルな試みであり、そのアプローチの意義と難しさを十分に例解できたと考える。
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Research Products
(7 results)