2004 Fiscal Year Annual Research Report
男性独居高齢者の生活困難の特性と保健福祉サービスのあり方に関する研究
Project/Area Number |
14310098
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
西口 守 東京家政学院大学, 人文学部, 助教授 (30306229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 博司 東北福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (90072975)
岩本 操 武蔵野大学, 人間関係学部, 講師 (30326962)
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Keywords | 男性独居高齢者 / 質的研究 / 比較研究 / 転職経験 / 離別経験 / 中年期 / 高齢期 / 生活困難 |
Research Abstract |
本年度末までに18名の高齢者の面接を終えた。性別は男性14名、女性4名である。女性が面接対象になった理由は、男性独居高齢者の課題・問題の独自性をあきらかにするためである。まずはじめに対象者の基本的属性について述べる。 年齢構成は、60代の男性3名、70代の男性4名、80代の男性5名、女性が1名、90歳以上の女性が1名であった。なお平均年齢は男性が77.5歳、女性が87歳であった。介護保険法による要介護認定の結果であるが、要支援が男性で3名、女性で1名、要介護1が男性で6名、要介護3が男性で1名、女性で1名であり、非該当(自立)が1名であった。ただこの1名は介護予防・生活支援事業から介護保険相当サービスを受けている。サービスの利用状況をまとめると(重複集計)訪問介護利用者は男性で7名、女性で2名、通所サービスは男性で8名、女性で1名、ショート利用者は男性で2名、通所リハビリが男性で1名であった。生活保護を受給している高齢者は6名(いずれも男性)であるが、1名の方は多額の負債で経済的には困窮しているので7名が生活困窮者と認知した。経済的困窮にある高齢者の内、6名が中年期に数回の転職経験があり、また、離別経験もあった。男性独居の高齢者で近隣との関係が乏しい方は9名であった。また家事能力が乏しい男性は2名であった。 次に対象者の事例研究を経て示された考察の一部を述べることにする。 1)男性の場合、中年期に繰り返された転職経験や離別経験がその後の生活を不安定にさせ、それを引きずる形で高齢期の生活困難が形成されていると考えられる。 2)男性の場合、地域との関係形成が難しく孤立する傾向にあるが、同一地域に長年にわたって居住した場合は配偶者が生存中に地域での関係を作り上げていて、それを配偶者死亡後もうまく引き継ぐ形で生活の安定が図られた。 3)男性が概して家事能力が低いとまでいえる事実はないが、配食色サービスへの期待はある。 4)男性の生活困難はパーソナリティ、教育環境、時代の影響が考えられる。 5)男性は寂寥感が強く、この結果としてデイサービスへの希望も強く、またヘルパーも社会的接触を保つために利用している傾向は否定できない。 以上である。
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