2003 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋地域における<移動する人々>に関する総合的研究
Project/Area Number |
14310109
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
EADES Jeremy・S 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80232106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 しん 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 助教授 (10331109)
A Mani 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (40331102)
木村 一信 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (20105365)
清家 久美 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 専任講師 (00331108)
ASKEW David 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 助教授 (90343722)
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Keywords | 移民 / アジア太平洋地域 / 移住労働者 / 近代世界システム / エスニシティ / 植民地状況 / ポスト植民地状況 / マルチカルチュラリズム / 移民マイノリティ |
Research Abstract |
本研究はアジア太平洋地域における、近代から現代に至るまでの「移動する人々」に関する総合的な解明を目指すものである。本年度の主に以下の4つの研究をおこなった。 (1)理論研究・先行研究の検討:昨年に引き続き、アジア太平洋における<移動する人々><グローバリゼーションと移民問題><近代世界システム・植民地主義の視点による移民解釈><移動する人々のアイデンティティの問題>について全員が理解を深めていった。月に1度研究会を開き、先行研究に対する批判的視点を確立し、その上でパラダイムの検討、そうした理論の可能性と現実への適用可能性を検討した。 イーズは、昨年同様アジア太平洋地域におけるエスニシティと移民に関する理論研究をおこなった。植民地状況の労働者問題、人種間結婚、移民マイノリティの相互関係性、都市化とエスニック、アボリジニーマイノリティのポジション等の問題さらなる整理をおこなった。また清家は、植民地状況/ポストコロニアル状況の問題系、マルチカルチュラリズムとトランスカルチュラリズムに関する理論研究を進めている。木村は昨年に引き続き植民地における日本人作家の移動の問題について本人みずから調査に赴くと同時に先行研究収集しその検討をおこなった。シュウシンは太平洋間の華人の移住、台湾における華人移民についての先行研究を国際政治学の視点から検討し、アスキューは歴史学の視点より、オーストラリア-日本間の移民問題についての整理をおこなった。 (2)本テーマに関するシンポジウム開催:立命館アジア太平洋大学において、11月22日から2日間にわたってRitsumeikan Asia Pacific Conference "The Limits of the Nation-State in the Asia Pacific"において、イーズを中心に本テーマに関する分科会、'The Global Political Economy of the Asia Pacific'を、マニを中心にのテーマの分科会'Diversity, Integration and the Nation-State'がそれぞれ開催された。また分担者はいずれかの分科会において移動する人々についての発表をおこなった。 (3)対象地の鯛査:昨年同様木村は「近代におけるアジア地域での日本人の作家の移動と語り」というテーマの下、インドネシア、マレーシア、シンガポール、韓国において現地調査、現地での資料収集をおこなった。清家はマレーシアでの調査蓄積のデータをまとめ、さらに6月以降国内における移動する人々(NPO)について国内約20ヶ所での調査をおこなった。ほかのメンバーも現地での文献・資料による研究を進めている。 (4)データベース化:イーズ、マニにより、アジア太平洋における<移動する人々>に関するデータが収集された。特にイギリス・ハワイでのデータ収集は本研究におけるデータベースの充実化(100ページを越すデータ量)を飛躍的に可能にしたといえる。データベースの出版を現在検討中である。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] J.S.イーズ: "Local research, global audiences : Linguistic hegemony and transnational publishing in the information age."Senri Ethnological Reports. 49. 3-6 (2004)
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[Publications] J.S.イーズ: "Dynamics of migration ; Past, present, and future movements of peoples in the Asia Pacific."Ritsumeikan Journal of Asia Pacific Studies. 14. 56-75 (2004)
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[Publications] 木村 一信: "安田満の<ジャワ>-「歌姫アユム」を視点として"論究日本文学. 第79号. 1-11 (2003)
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[Publications] マニ, A: "The Power of Women in Singapore's Tamil Novels"Ritsumeikan Journal of Asia Pacific Studies. 15-3. 145-161 (2004)
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[Publications] マニ, A: "Management of Uncertainties in an Autocratic State : The Case of Brunei Darussalam"Ritsumeikan Journal of Asia Pacific Studies. Vol.12. 135-145 (2003)
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[Publications] マニ, A: "Saravana Muthuthamby Pillai : The Persona behind a History"Ganapathy Kalanjiyam : History of Sri Senpaga Vinayagar Temple. 10-14 (2003)
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[Publications] シュー・シン: "The Dynamics of Political and Economic Interactions Between Mainland China and Taiwan"Papers in Regional Science. Vol.82. 373-388 (2003)
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[Publications] シュー・シン: "The Use and Abuse of 'Essentialist' Formulations in East-West and Sino-American Relations"Ritsumeikan Journal of Asia Pacific Studies. Vol.12. 23-29 (2003)
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[Publications] アスキュー・ディヴィット: "Kanematsu Fusajiro, Kanematsu Shoten and Early Australia-Japan Relations : 1845-1890s"Ritsumeikan Journal of Asia Pacific Studies. vol.11. 1-26 (2003)
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[Publications] アスキュー・ディヴィット: "Defending Nanking : An Examination of the Capital Garrison Forces"Sino-Japanese Studies. vol.15. 148-173 (2003)
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[Publications] アスキュー・ディヴィット: "Osugi Sakae : Individual Socialism and Anarchism"Ritsumeikan Journal of Asia Pacific Studies. vol.12. 1-22 (2003)
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[Publications] アスキュー・ディヴィット: "Empire and the Anthropologist : Torii Ryuzo and Early Japanese Anthropology"Japanese Review of Cultural Anthropology. vol.4. 133-154 (2003)
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[Publications] アスキュー・ディヴィット, ポール・クロース: "Asia Pacific International Relations and the Game of Human Rights"Journal of American Studies. (2004)
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[Publications] 木村 一信: "昭和作家の<南洋行>"世界思想社. 394 (2004)
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[Publications] 清家 久美: "「マレーシアの華人信仰「ダトコン」と<義務>の観念」『民族強制への道』2章"九大出版会. 51-74 (2003)
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[Publications] 清家久美: "水上家屋での生活『民族共生への道』"九州大学出版会. 75-76 (2003)