2005 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児の算数困難と個別支援の研究-数学的操作の獲得段階に合わせた指導法開発-
Project/Area Number |
14310112
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Research Institution | University of tsukuba, Doctor Program of Comprehensive Sciences |
Principal Investigator |
前川 久男 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50165635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 恵子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (10272147)
東原 文子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (60272150)
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Keywords | 学習障害 / 算数 / PASS理論 / 発達 / 指導マニュアル |
Research Abstract |
前川らは、軽度知的障害児を対象に加算計算問題における方略使用に焦点をあて、認知機能としてのプランニング能力との関連を検討するとともに、プランニングに焦点を当てた指導を行った。その結果、加算計算問題における多様な方略使用はプランニング関係することが見いだされ、プランニングに焦点を当てた指導を行うことは、方略使用の直接的指導よりも、問題に応じた柔軟な方略使用を広げるとともに、プランニング能力そのものを高めることを示した。また東原は、英国のDenvirらの研究を基に東原(2004)によって作成された算数スキルテスト44項目(カウンティングから2位数の加減算程度の内容)のうち31項目を国内の小学校1・2年生150名を対象に実施し、発達順序性に関する項目ネットワーク図を作成した。その結果、31項目中28項目が50%以上の通過率となったため、下(通過率高)の方に項目が密集した図になった。したがって、今後、就学前から就学直後あたりの幼児・児童を対象にデータを追加する必要がある。英国の先行研究では、「二桁の繰り下がりのある減算の暗算」が最も低い通過率となっていたが今回の研究では「乗算を分配の文章題に使う」が最も通過率が低い結果となった。また、カウンティングに関する項目を取り出して比較したところ、10飛び、5飛び、2飛びのカウンティングの関連が日本と英国で異なっていた。このような差異は、英国と日本における算数教育の内容や重点のおき方などに起因すると考えられる。熊谷は、継次処理より同時処理に困難を示す児童を対象に、基数概念の指導法の検討を行った。3名の対象児に、一定の長さ線分を示し、線分が6だとしたら5の線分はどうなるか描く課題を行い、指導としてシールを導入しシール課題を媒介として指導を行った。その結果、数量としての長さを予測可能となり、より正確に線分を描くことが示された。 以上の研究により、算数困難を示す児童への指導法を明らかにすることができた。
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Research Products
(1 results)