2004 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの創作活動における音楽的発達研究:幼年期・義務教育期間の縦断的横断的研究
Project/Area Number |
14310124
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Research Institution | National University Corporation Tottori University |
Principal Investigator |
小川 容子 国立大学法人鳥取大学, 地域学部, 助教授 (20283963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 真由美 国立大学法人北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (30301823)
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Keywords | 創作活動 / 音楽的発達 / 縦断的研究 / 横断的研究 / 作品評価 / ディスコース分析 |
Research Abstract |
平成16年度は,平成15年度に実施した小学校及び中学校の音楽創作授業(本実験授業)の量的・質的分析及び,制作された子ども達の音楽作品(63曲)に関する聴取評価・分析をおこなった。まず,録画した各学校の全音楽授業のtranscribe(書き起こし)をおこない,子ども⇔子ども及び教師⇔子どもの相互交流がどのようにおこっているのか,音楽作品制作にどのように反影されているのかに関して検討を重ねた。さらにビデオ解析用ソフトThe Observer(Noldus社)を用いてカテゴライズとコード化をおこない,関連学会に出席して,分析方法及び結果に関する専門家との意見交換を行った。コード化にあたっては,グループ内での相談の内容やメンバー間の相互行為のパターン,試行錯誤の様子,教師のアドバイスや他のグループからのインプットに対する対処の仕方等を分析対象とし,重層的なコード間の関係を明らかにした。その結果,以下の点が明らかとなった。すなわち(1)年齢が高くなるほどテーマの発展のさせ方,モティーフの使い方,形式など作品構造に関する意見交換を頻繁におこなっていること(2)高学年の場合は,音楽的なアイデアを伴った相談をおこなっていること(3)低学年の場合は,音素材や音の出し方に関する試行が多いこと(4)低学年の場合は,子ども同士の相談よりも教師のアドバイスによって音楽作品が構築されていること(5)ベテラン教師に比べ新人教師は,時間配分やメンバー間の心的交流に配慮した発言が多いこと等である。子ども達が制作した全63曲に対する作品評価は,7人の評定者によって「直感的評価」と「分析的評価」の2側面から詳細におこない,併せて内観報告もおこなった。年齢が高くなるにつれ,作品の評価は直感的・分析的ともに高くなる傾向がみられ,評定者間でも高い一致がみられた。 尚,平成16年度に行ったカテゴライズに関する量的分析の結果の一部を国内及び国外の学会で発表した。
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Research Products
(3 results)