2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310147
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
細谷 広美 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (80288688)
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Keywords | 現代美術 / ラテンアメリカ / グローバル化 / ヒスパニック(ラティーノ) / アート |
Research Abstract |
レタブロ作家であり、ペルーでおきた先住民の大量虐殺に関する証言をもとに作品を制作してきている、先住民出身アーティストのエディルベルト・ヒメネス氏を日本に招き、日本ラテンアメリカ学会研究大会で展覧会を開催するとともに特別ワークショップを主催した。また、国立民族学博物館で研究フォーラムを開催した。これらを通じて民俗芸術(フォーク・アート)、民衆芸術(ポピュラー・アート)、民族芸術(エスニック・アート)、現代美術の関係性がより明確になった。さらにアートや写真によって暴力がどのように表象され、記録、記憶されうるかということについて検証した。ベネチア・ビエンナーレで資料収集をするとともに、イタリア、スペイン各地の美術館及び展覧会で資料収集を実施した。今回のベネチア・ビエンナーレは、110年に及ぶ歴史上はじめて女性(スペイン出身女性2名)が総合ディレクターとなった。ベネチア・ビエンナーレに関しては、現代美術の万国博覧会もしくはオリンピックとでも評すべき、国単位での参加というシステムがグローバル化にそぐわないという批判があるが、他方で、国単位であるからこそ美術界において市場が大きな意味をもってきているなかで小国出身者も参加できるという議論があり、現代美術におけるネイションとグローバル化の関係について考察を深めることができた。ラテンアメリカ出身のアーティストに関しては、昨年度インタビューをしたキューバ出身のアーティストたちが出品していた他、グアテマラ出身の女性アーティストが若手対象の賞を受賞した。また、ブラジルのトロピカーリアを想起させるアルゼンチン出身アメリカ在住のアーティストの作品が存在感を放っており、汎ラテンアメリカ的要素の生成もみられた。個々のローカリティにまつわる既存のテクストやイメージを流用するという、第三世界出身のアーティストたちのグローバル化への参入の戦略も観察された。
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Research Products
(1 results)