2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310151
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中西 裕二 福岡大学, 人文学部, 教授 (50237327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末成 道男 東洋大学, 社会学部, 教授 (20054570)
白川 琢磨 福岡大学, 人文学部, 教授 (70179042)
吉田 光宏 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (40311253)
李 鎮栄 名桜大学, 国際学部, 教授 (30269170)
聶 莉莉 東京女子大学, 現代文化学部, 教授 (00258493)
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Keywords | 文化人類学 / 自社会研究 / 自文化研究 / 他者理解 / ナショナリティ / 東アジア / 近代学問体系 / 民俗学 |
Research Abstract |
本研究は、非西欧社会の中でも最も文化人類学が普及している日本、韓国、中国といった東アジアの自社会研究の人類学(Home Anthropology)について、文化人類学理論、各国の文化人類学の学説史、フィールドワークという実践面から考察を試み、日本のアカデミズムに根強い「異文化(=海外)研究としての文化人類学」といった傾向の再考を試み、自社会研究を文化人類学的に実践する意義と意味、そして問題点について分析した。 本研究で明らかになったのは、以下の3点である。1)文化概念をめぐる政治性や学を存立させる近代システムの問題により、文化人類学=異文化研究という古典的定義を自明視する時代は既に終わったと言え、他者研究としての広がりをもつ文化人類学という枠組みの再構築が必要である。その中で自文化/異文化、自社会/異社会の自明性がむしろ相対化され、新たな他者研究としての文化人類学が再想像されると言える。2)東アジア諸地域における文化人類学の位置づけは国により異なる。グローバルで地域的特徴が表に出ない社会科学、自然科学と異なり、思想・哲学、文学や歴史を主とする人文科学は近代国民国家の成立とその内容やあり方が深く関係する。文化人類学はむしろその領域に位置づけられており、それが各国における多様性の一因とも言える。3)国籍の違いによる文化的背景以外にも、調査者の政治的ポジション、研究履歴、対象へのアプローチ方法など、対象とする文化への視座は多様な要因により異なる点が日本における現地調査で明らかになり、この視座の差異を単に古典的な「異文化」に収斂させることはできない。
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Research Products
(7 results)