Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 道裕 国立歴史民俗博物館, 歴史研究部, 助教授 (90183805)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 教授 (30134993)
千田 嘉博 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助教授 (70226695)
白根 靖大 中央大学, 文学部, 助教授 (80250653)
坂田 聡 中央大学, 文学部, 教授 (20235154)
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Research Abstract |
十三湊遺跡の南端に位置する檀林寺跡の土塁南側で確認されたマウンド状遺構群の性格と範囲を確認するために,平成15年8月15日〜同年9月5日にかけて、一帯の地形測量のほか,一部発掘調査を実施した。発掘調査面積は約110m^2である。 調査区一帯は起伏の少ない平坦な地形であるが,詳細に地表面を観察すると,小高いマウンド状の高まりを多数確認することができた。地形測量の結果,確認することができたマウンドの数は22基にのぼる。マウンド状遺構は,その形態によって大きく二つのタイプに分けることができる。一つ目のタイプは、コの字状の土塁を伴うもので,3基ほど確認できる。二つ目のタイプは,方形のマウンドを持つタイプで,これが最も多く19基ほど確認することができた。なお,第4号と第13号は,地表面に玉砂利が確認されており,葺石として用いた可能性が考えられる。 発掘調査は第1・2調査区と第1〜5トレンチ区を設けて実施した。第1調査区では第14号遺構の性格・時期等を確認するために,9m×7mの範囲で調査区を設定した。調査の結果、方形にめぐる周溝を伴ったマウンド状の高まりを確認できた。溝跡は南西隅で途切れており,開口部(通路跡)を伴っている。第14号遺構は7.7m、南北約7.0mの長方形を呈し,溝の掘り上げ土で,高く中央を盛っていることが確認できた。溝内からの出土遺物はなく,また,主体部の遺構は確認できなかった。 調査のまとめ 地形測量の結果,マウンド状遺構の数が少なくとも22基にのぼることが判明した。また,トレンチ調査の成果を踏まえると,こうしたマウンド状遺構は削平を受けているものの,さらに西側や南側に広がる可能性が高いと推定される。マウンド状遺構の形態には,コの字状の土塁を伴うもののほかに,方形のマウンドを持つ二つのタイプが存在する。試掘調査の結果,第14号遺構は方形に溝を巡らすマウンド状遺構であることが判明した。しかし,溝内から遺物は出土せず,主体部には墓壙のような施設は検出されていないので,遺構の性格や時期を特定するまでに至っていない。しかし,第4トレンチから五輪塔の一部が出土したり,これまでの調査成果を踏まえると,こうしたマウンド状遺構は中世の宗教施設(塚墓)の可能性が非常に高いと考えられる。
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