Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 稔 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (20079403)
森 洋久 国際日本文化研究センター, 文化資料研究企画室, 助教授 (10282625)
小形 登 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (30160740)
藤尾 慎一郎 国立歴史民俗博物館, 生産遺跡研究部門, 助教授 (30190010)
碓井 照子 奈良大学, 文学部, 教授 (30068829)
|
Research Abstract |
本年度は以下のような開発研究をおこない,それぞれに大きな成果を得た。 考古学では,弥生遺跡GISデータベース(福岡編),弥生青銅器GISデータベース(武器編),古代都城・墳墓GPSデータベース,平安京・畿内村落GISデータベース,剣岳・立山宗教遺跡GISデータベースを作成して,それぞれGISによる密度分布分析,可視領域分析,地形・立地分析などを試みた。 これによって弥生集落については拠点的集落が眺望域の広い地点に立地して周辺に小規模集落を編成するあり方から,これらを統合してより大きな政体を形成する過程を復元した。弥生青銅器については,その分布域が重なりつつ遷り変わっていく動的なプロセスを明らかにした。古代都城・墳墓に関しては,7世紀中頃以後に正確な真北測量に基づいて計画配置したことを確認した。平安京と畿内村落は,古代から中世にかけて大きく変貌すること,変貌に際して,里内裏の移動や寺社の配置が重要な役割を持ったことを明らかにした。剣岳・立山宗教遺跡は,二つの霊峰を眺望できる場所に重要施設を配置して,それを起点に各遺跡が眺望のネットワークを形成していたことが判明した。 地理学・情報学では,古地図・衛星写真情報を集成して解析することによって,日本・世界の多くの古代都市遺跡を発見・復元した。これに並行して分散型GISを開発し,色々な機関が所蔵する多くの種類の地図・地形データと考古学・地理学情報とをGIS上で正しく重ねることを可能とした。これは学際的研究の有力なプラットフォームになるものである。 以上,当該研究課題に関して,現時点における最も高度な解析法を確立できたと考える。 なお本年は研究最終年度にあたるため,日本学術振興会の補助を得て開催した国際シンポジウム「世界の歴史空間を読む-GISを用いた文化・文明研究-」(2005年2月7日〜同11日,於国際日本文化研究センター)において,その成果を世界の当該分野の研究者に発信して,有益な討論を行った。
|