2002 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭の日本におけるメディア革命の比較文化理論的研究
Project/Area Number |
14310215
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
和泉 雅人 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (40159801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
識名 章喜 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30162580)
フェルンケース ヨーゼフ 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (40306858)
前田 富士男 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90118836)
平田 栄一朗 慶應義塾大学, 文学部, 助手 (00286600)
大宮 勘一郎 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (40233267)
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Keywords | 国際研究者交流 / メディア美学 / 文化人類学 / テクノロジー表象 / モデルネ / バウハウス / 演劇表象 / 映像研究 |
Research Abstract |
(1)昨年10月にジーゲン大学からシュネル教授以下2名、大阪大学から三島憲一教授、それに慶応大学の共同研究メンバーが加わって行われた国際シンポジウムにおいては、日独の比較方法論の問題と1900年と2000年の比較方法論の問題が主に検討された。とりわけテクノロジー的前提の比較や歴史的・社会的諸条件の比較では闡明できない要素が極めて多く存在し、むしろそれらの要素にこそ新たな知見の可能性があることが認識された。この点からわれわれに文化人類学的な理論的枠組みの強化と、さらに比較文化論の視点を保持しつつ、むしろ逆説的に、東西におけるメディア革命の比較というよりは「共に分かつ歴史」という文化横断的な視点の導入による共通の理論的枠組みの構築が必要であるとの認識に達した。以後、各研究者はこの認識に従って個々の具体的な研究を進めることになった。 (2)個々の研究成果について、研究代表者の和泉は、基礎的作業としてバウハウス関連の文献および書誌のデータベース化を進行させている。現在知りえた限りであるが、日本におけるバウハウスに関わる書誌事項は意外にも数が少なく、およそ2000程度であろうということが判明している。またドイツのベルリンおよびデッサウのバウハウス資料館での調査で日本の研究者には知られていないいくつかの資料が収集された。識名は、不可視の「電気」をめぐる言説が、18世紀末から19世紀を経て20世紀に通信・録音・映像メディアに細分化される過程を分折し、科字技術の敵対視と科学技術の無反省な取り込みと妄想的肥大化の構図を鮮明にした。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 前田富士男: "造形概念としてのコンステレーション"基建基盤研究(C)(2)研究成果報告書造形概念としてのコンステレーション. 1-27 (2002)
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[Publications] 前田富士男: "線描(Zeichnung)と書記(Schrift)、あるいは造形と舞踏-ドイツ表現主義の再定義"体をキャプチャーする-表現主義舞踏の系譜(ブックレット10号). 10. 53-65 (2003)
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[Publications] 前田富士男: "コンステレーションとしての造形一1930年のクレーとアルプ"伝統と象徴. 139-166 (2003)
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[Publications] Josef FURNKAS: "Die Zukunft der Bildung? Erinnerung an ihre Idee und Blick auf ihre Wirklichkeit"Kenkyu Nenpo 2003, 20. Germanistik Keio Daigaku. 20(未定). (2003)
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[Publications] Josef FURNKAS: """So denken als hatte man noch nie gedacht."Elias Canetti "Aufzeichnungen""Waseda-Blatter 2003, Germanistik Waseda Daigaku. (2003)
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[Publications] 大宮勘一郎: "「有事と越境-ハイデガーのDing/ラカンのDing-」"「フランス哲学・思想研究」. 7. 20-39 (2002)
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[Publications] 大宮勘一郎: "「手紙をめぐって」"慶應義塾大学藝文学会編「藝文研究」. 83. 38-54 (2002)
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[Publications] 和泉雅人: "麒麟考日本篇「東アジアにおける麒麟表象の基礎的研究(三)"藝文研究. 82. 59-78 (2002)
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[Publications] 和泉雅人: "フリードリヒ『テッチェンの祭壇画』"慶応義塾大学独文学研究室「研究年報」. 20(未定). (2003)
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[Publications] 前田富士夫(共編): "色彩用語辞典"東京大学出版会. 592 (2003)
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[Publications] 前田富士夫(編): "伝統と象徴-美術史のマトリックス"沖積杜. 384 (2003)
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[Publications] D・ホール, 前田富士夫(訳): "パウル・クレー"西村書店. 126 (2002)
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[Publications] 識名章喜(共著): "ユートピアの期限"慶應義塾大学出版会. 403 (2002)
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[Publications] ヨースト・ヘルマント, 識名章喜(訳): "理想郷としての第三帝国-ドイツ・ユートピア思想と大衆文化"柏書房. 359 (2002)
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[Publications] ハンス=テイース・レーマン, 平田栄一朗(共訳): "ポストドラマ演劇"同学社. 373+42 (2002)