中世ロシア文章語成立に関与するロシア諸年代記の語彙的特徴と表現に関する研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14310219
• Research Institution: Nagoya University
• Principal Investigator: 中條 直樹 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (10023623)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 石田 修一 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (50035896) ; 佐藤 昭裕 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50135498) ; 山口 巌 鳥取環境大学, 環境政策学科, 教授 (60026763) ; 岡本 崇男 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (90169152) ; 山田 勇 香川大学, 経済学部, 教授 (90036020)
• Keywords: モスクワ年代記集成 / ノヴゴロド第4年代記 / コンコーダンス / 中世ロシア文章語 / 語彙 / 特殊文字 / OCR

Research Abstract

標記研究課題の遂行に際し、平成15年度はその二年目であり、前年度に選択したロシア諸年代記から『モスクワ年代記集成』、『ノヴゴロド第四年代記』の2点のスキャニングとOCR化を終了した。このうち、『モスクワ年代記集成』は、テキストの総頁数が333頁であり、スキャニングとOCR化に時間を必要とした。平成14年度末に『モスクワ年代記集成』語彙集を刊行し、引き続き平成15年度末に『モスクワ年代記集成』コンコーダンスI、II、III(総頁数2368頁)を刊行した。『ノヴゴロド第四年代記』については、スキャニングとOCR化を終了し、校正の段階にある。両年代記とも、本プロジェクトの研究代表者が科学研究費の交付を受けて公刊した一連のロシア年代記のコンコーダンス<『ロシア原初年代記』(ラヴレンチー年代記)コンコーダンスI.II.、『ノヴゴロド第一年代記(シノド版)』コンコーダンス、『ノヴゴロド第一年代記(新輯版)』コンコーダンスI,II.、『スズダリ年代記』(ラヴレンチー本)コンコーダンス>と並び、中世ロシア文章語成立には、方言的な特徴を含めて、考察の対象とすべき資料である。更に、『イパチー年代記』のスキャニングを開始すべく準備中である。
『モスクワ年代記集成』(1949)は「語彙集」を刊行したこともあり、「コンコーダンス」作成は比較的短時間の作業で終了した。『ノヴゴロド第4年代記』は1929年に発行され、OCR終了後の校正に多大な時間を必要としており、上述したように校正中である。ただ、両年代記とも、前述のコンコーダンス作成処理に関して問題となった古ロシア語の特殊文字は極めて限られており、処理時間の短縮には結びついたが、印刷不鮮明な箇所の処理は、異本を参照の上、キーボードからの入力を行なった。両年代記とも文中では、‖により、葉紙の改頁を指示しているため、また最近の復刻版の使用者を勘案し、それをも指示し、検索を容易にしている。

Research Products

• [Publications] 山口 厳: "What did "give" mean, before it became to mean "to give""鳥取環境大学学報. 2. 1-3 (2004)
• [Publications] 佐藤 昭裕: "ルシの人々は如何に死んだか(上)"京都大学文学部研究紀要. 42. 65-123 (2003)
• [Publications] 佐藤 昭裕: "ルシの人々は如何に死んだか(下)"京都大学文学部研究紀要. 43. 3-37 (2004)
• [Publications] 山田 勇: "スラブ語の不定人称文と無人称文について"香川大学経済学部 研究年報. 76-3. 51-72 (2003)
• [Publications] 神山 孝夫: "印欧祖語のアップラウトと文法構造"大阪外国語大学論集. 27. 33-58 (2003)
• [Publications] 神山 孝夫: "音声変化とその制約-印欧祖語とスラブ語前史における代償延長-"古代ロシア研究. 21. 79-106 (2003)
• [Publications] 中條 直樹: "『モスクワ年代記集成』コンコーダンスI,II,III"古代ロシア研究会. 2368 (2004)