2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本法のアイデンティティに関する総合的・比較法的研究―源流の法とグローバル化の法
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14320005
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野村 稔 早稲田大学, 法学部, 教授 (90063776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸波 江二 早稲田大学, 法学部, 教授 (00155540)
土田 和博 早稲田大学, 法学部, 教授 (60163820)
内田 勝一 早稲田大学, 法学部, 教授 (10063794)
加藤 哲夫 早稲田大学, 法学部, 教授 (90063809)
早川 弘道 早稲田大学, 法学部, 教授 (20063802)
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Keywords | 尊属重罰規定 / ILO / 末弘厳太郎 / 中国、ベトナム、日本民法の比較 / 強制執行等の包括的禁止命令 / ハンガリー憲法史 / 有罪答弁 / 昭和25年商法改正 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、かつ、次年度の研究のまとめに向けた年度として、各研究分担者は、それぞれの研究テーマについて積極的に研究活動を展開した。まず違憲審査制に関する比較研究では台湾での現地調査が行われ、ドイツとの比較研究についての論文が公表された。民事法分野では、現代アジアにおける法整備、とりわけ民法典の制定・改正につき、中国・ベトナム・日本の比較法的研究が進行し、国際学会での報告や論文の公表などがあった。刑事法分野では、旧刑法制定前後の資料の収集・整理が行われ、特に尊属重罰規定を手がかりとして西洋的要素と律的・日本的要素の移入関係の分析を行うための作業が開始された。一方、有罪答弁手続に関して、前年度のアメリカとカナダからイギリスに研究対象が移った。企業法制研究では、1950年商法改正が対象とされ、その背景等が検討された。競争法制では、イギリス独占禁止法制のEC競争法化が検討され、EC競争法への調和化という視点から1998年競争法と2002年企業法が分析対象となった。倒産法分野では、倒産債権の概念の変容についてアメリカ法の影響が検討された。日本の労働法の源流を国際的な環境の中で見返してみる研究においては、ILO創設を決めたベルサイユ条約第13編<労働>の草案作成に関与した末弘厳太郎の役割等が研究された。EU法制については、2004年5月に予定されている欧州連合(EU)の拡大に関連して、基本条約の「憲法化」が取り上げられた。新規加盟国側における既存のEU法の継受による加盟国法の変化と継受されるEU法自体の変化というダイナミックな進行が捉えられた。一方、東中欧諸国について、前年度末に実施されたチェコとハンガリーでの現地調査を基礎として、ハンガリーを主対象とする東中欧地域の国制史が伝統的法文化の近代化、社会主義化、体制転換に引続くEU統合(国際化)に至る歴史過程の全体像のなかで分析された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 加藤 哲夫: "他の手続の中止命令・包括的禁止命令"判例タイムズ. 1132号. 56-59 (2003)
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[Publications] 土田 和博: "独占禁止法改正の底流"公正取引. 641号(未定). (2004)
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[Publications] 早川 弘道: "ハンガリーにおける体制転換と憲法問題"比較法学. 37巻2号. 2-25 (2004)
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[Publications] 早川 弘道(監訳): "ハンガリー共和国憲法(邦訳・解題)"比較法学. 37巻1号. 279-311 (2003)
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[Publications] 栗城壽夫, 戸波江二, 他: "栗城=戸波=畑尻編『憲法裁判の国際的発展』"信山社. 385 (2004)
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[Publications] 甲斐道太郎, 加藤哲夫, 他: "新しい会社更生法-モデル事例から学ぶ運用上の論点"有斐閣. 432 (2004)