2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14330025
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Research Institution | SEIJO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大森 弘喜 成城大学, 経済学部, 教授 (40103692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 隆生 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90189001)
深澤 敦 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40288618)
島 浩二 阪南大学, 流通学部, 教授 (90131490)
松井 道昭 横浜市立大学, 商学部, 教授 (10046112)
北村 昌史 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (20242993)
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Keywords | 社会保障史 / 社会住宅史 / 公衆衛生史 / 都市計画史 / 19世紀西欧史 / 都市社会史 / パリ史 / ベルリン史 |
Research Abstract |
2004年度は本研究の最終年度に当たるのでこれまでの研究を総括する目的で、5月の社会経済史学会第73回大会(於大阪市立大学)でパネルディスカッションを実施した。その準備として昨年度末から今年度初めにかけて報告者と司会だけの合宿や研究会を幾度か開き意見の交換と調整をおこない、さらにメンバー全員の研究会を5月に2回行い批判を仰いだ。5月の学会報告は「西欧における住宅改革の比較史的考察-19世紀半ばから20世紀半ばまで-」と題して、まず研究代表者の大森弘喜が全体の趣旨とフランスにおける住宅間題の発生・展開および解決の枠組みなどを報告し、次いで北村昌史が「19世紀ベルリンにおける住宅改革運動の展開」を、椿建也が「大戦間期イギリスの住宅改革と公的介入政策」睦報告した。司会は中野隆生が行った。会場は盛況で活発な意見交換がなされきわめて有益なディスカッションであった。 国内の研究会は上記以外に次の3回行った。10月には本研究の海外研究協力者であるA.フォール氏(パリ大学第10)が来日したのを機に、箱根で研究会合宿をもち「19世紀パリのメゾン・ガルニ」の報告を得た。これは不衛生住宅の典型とみなされる住環境であり、多くの疑問と批判的意見がでた。12月の成城大学での研究会では研究協力者の稲垣隆也君(一橋大学院生)が「19世紀末ベルリンの衛生監督官制度」の報告をした。欠陥のある住宅を調査しその改善を促す画期的なこの制度だが、運動の規模と効果、その後の制度化に意見が続出した。2005年3月初旬には箱根で最終回の研究会を開催し、各人の研究進捗状況の報告と成果報告書作成のための注意と協力などが語られた。研究報告は深澤敦が「パリ家族手当金庫の形成」を行った。パリの企業経営者の自発的支給でなされる歴史的な理由を詳細なデータをもとに語られた。この制度が経営者のイニシァティヴで始まりながらやがて国家の制度に組み込まれてゆくその論理と過程に講論が集中した。本年度は諸般の事情で海外出張はできなかったが、大森弘喜が国内出張(京都大学医学部図書館、『公衆衛生学および法医学年報』閲覧)を行った。目下3年間の総括を「成果報告書」として纏めており、翌年度に出版助成を受けて公刊する予定である。
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Research Products
(12 results)