2004 Fiscal Year Annual Research Report
企業の意思決定過程における組織エラー防止のための組織人間工学的研究
Project/Area Number |
14330035
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Research Institution | TAKASAKI CITY UNIVERSITY OF ECONOMICS |
Principal Investigator |
岸田 孝弥 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (00106262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武井 昭 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (20045850)
大島 登志彦 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (60203767)
久宗 周二 (財)海上労働科学研究所, 主任研究員
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Keywords | 組織人間工学 / コンプライアンス / 意思決定 / 組織エラー / 組織事故 / 安全文化 / 安全マネジメントシステム / 安全風土 |
Research Abstract |
雪印乳業の企業倫理活動について、コンプライアンス部長の岡田佳男氏と直接話し合う機会が得られ、事件後の対応が把握でき、企業の意思決定の過程を知ることができ参考になった。三菱自動車(株)の組織エラーの問題については、組織事故防止と組織の安全体質強化の視点から研究を進めた。三菱自動車では、トップが「型通り」の、官僚的で、階層的な安全に対するアプローチをよしとしていた様子が伺われた。安全文化の特徴を見ると、安全管理システムの土台として役立つ価値と信念および原則を持ち、これらの基本原則を例示し、強化する一連の慣行と行動については、職場のメンバーによってある程度まで共有されていたはずだが、実際には組織風土の影響を受け、会長や常務等の役員層の考え方を踏まえて、部課長クラスの意見がまとめられるなど、組織メンバーからの安全に対する独自の意見が取り上げられることはなかった。三菱自動車においては、自分より職位が上の者に対して意見を言うことの困難さが感じられるとともに、階層権威の勾配が大きかったことが示唆された。安全マネジメントシステムに対する参加型アプローチに監督者が関与することが有効であることは、多くの人に理解されつつある。安全に関するリーダーシップが、作業の安全が重んじられるような安全風土を作り上げるのに役立つことも今回の研究から示唆された。 「組織事故とは何か」と問われる機会が多くなったが、明石市民夏祭り事故(歩道橋事故)や六本木ヒルズの回転ドアでの死亡事故等についても、一見、組織事故と関係ないように見えたものが、実際には組織の意思決定のミスにより引き起こされた事故であることが研究の結果明らかにされたことも、今年度の研究の成果である。 この他、15年度から研究を進めていたBSEと日本ハムの偽装事件や、JR西日本の救急隊員列車接触事故、韓国大邱市の地下鉄車両火災事故についても研究を進めた。
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Research Products
(5 results)