2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 秀司 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50153804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 毅 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70201506)
桂 利行 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40108444)
宮岡 洋一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50101077)
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Keywords | 代数的サイクル / 高次元類体論 / モチフィックコホモロジー / 高次Abel-Jacobi写像 / p進Hodge理論 / Chow群 / 混合モチーフ / Hodge理論 |
Research Abstract |
当該研究は次の3つの部門からなる。(I)高次元類体論とモチフィックコホモロジー、(II)数論的代数多様体上の代数的サイクルのp進Hodge理論を用いた研究、(III)複素多様体上の代数的サイクルのHodge理論を用いた研究。以下、成果の挙がった(I)と(III)について説明する。(I)高次元類体論は高木-Artinにより確立された古典的類体論を高次元化する理論である。数論的多様体のアーベル被覆を代数的K理論を用いて統制するもので、幾何学的類体論とも言える。整数環上有限型スキームにたいする高次元類体論は当該研究以前に加藤和也氏との一連の共同研究により完全な形で完成することに成功した。モチフィックコホモロジーとは、代数体の整数環のイデアル類群や単数群、代数多様体のChow群などを一般化したもで、数論的多様体のL-関数とも密接に関連する重要な研究対象である。これにたいする重要な未解決問題として数論的多様体のモチフィックコホモロジーの有限性予想があるが、これまで1次元の場合を除いて殆ど肯定的な結果はなかった。当該研究では高次元類体論で用いられた手法を発展させ、さらにp進Hodge理論などの新しい道具を用いることにより、この問題に対する肯定的な結果を得た。そのひとつとして、有限体上の多様体に対する特異点の解消を認めれば、有限体上の射影的非特異代数多様体のある有限係数のモチフィックコホモロジーは有限であることを示した。(III)この部門の目標は19世紀一変数複素関数論の金字塔であるAbelの定理を高次元化することである。1968年Mumfordは余次元が2以上のChow群は一般には複素トーラスのような既知の幾何学的構造で統制するのが不可能なほど巨大であって、とくにGriffithsのAbel-Jacobi写像は巨大な核を持ちうることを示した。これまで当該研究は、Bloch-Beilinsonによる混合モチーフの哲学的指導原理に従いGriffithsのAbel-Jacobi写像を一般化する高次Abel-Jacobi写像の理論を構成し、GriffithsのAbel-Jacobi写像では捉えきれない様々な代数的サイクルを捉えた。本年度の成果としてはJ.Lewis氏との共同研究で、高次Abel-Jacobi写像の像がある一般的な条件の下で非常に大きい像を持つことを示した。これは上記のMumfordの定理の拡張である。さらに算術的混合Hodge加群の理論を用いることにより、高次Abel-Jacobi写像がある多様体に対しては非自明な核を持ちうることを示した。
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Research Products
(6 results)