2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 隆裕 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (20027379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 達也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80324599)
青木 貴史 近畿大学, 理工学部, 教授 (80159285)
竹井 義次 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (00212019)
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Keywords | 無限個の相 / WKB型微分作用素 / Stokes図形 / 仮想的変わり点 / 超局所微分作用素 / Landau-Zener型 / 完全最急降下法 / 陪特性グラフ |
Research Abstract |
研究実績は以下のとおり. 1.無限個の相を持つWKB解を許容するような微分方程式の構造の研究。[AKKT2](以下文献略号に就ては11項参照)に於てはそのような作用素の代表例としてその表象の各斉次部分が各々整函数となるようなもの(WKB型微分作用素と呼ぶ)を考え、そのWKB解析の局所理論に就き(1)WKB解の構成には量子化接触変換を採用し、併せて(2)そのような作用素の局所標準型を超局所微分作用素に対するある除法定理を示すことにより、いずれも決定的な結果を得た。又、そのような作用素の大域的研究に就ては[AKKT1]に於て計算機実験を用いていくつかの具体的作用素に対しそのStokes図形の記述を行い、仮想的変わり点及び新しいStokes曲線の概念が、通常の(WKB解に有限個の相しか許さない)微分作用素のWKB解析の場合と同様に有効であることを確認した。現在、さらにこれ等の結果を、より一般化した作用素の族、即ち大きなパラメタを持つ超局所微分作用素の族、に拡張することを試みている。 2.我々のグループの開発した完全最急降下法を用いることによりStokes図形の大域的様相の微妙な問題(例えば通常の、或いは、新しい、Stokes曲線上でWKB解にStokes現象の起こらない部分の決定)に就て具体的研究を行った。([AKoT],[KoT]) 3.Landau-Zener型の非断熱遷移確率の計算([AKT1])。これは青木・河合・竹井が以前に非断熱遷移の問題を念頭に調べた方程式(Asian J. Math. 2(1998))の構造が今一つすっきりしていなかったことに不満を感じて大きなパラメタの入れ方が物理的な現象をよりよく現わすと思われるものを用いた所、単純変わり点でなく二重変わり点が現われ、その為に議論が却ってすっきりした、と云う不思議な結果である。数学の研究に於て物理学的背景に眼を配ることの重要性をつくづく感じさせられた。又、この計算の途中で、当該作用素に関しては仮想的変わり点の具体的計算法を与えることが出来たので、現在陪特性グラフなる概念を導入してそのグラフ論的整備を急いでいる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] [AKKT1]T.Aoki, T.Kawai, T.Koike, Y.Takei: "On global aspects of exact WKB analysis of operators admitting infinitely many phases"RIMS Preprint 1392. (発表予定). (2003)
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[Publications] [AKKT2]T.Aoki, T.Kawai, T.Koike, Y.Takei: "On the exact WKB analysis of operators admitting infinitely many phases"Adv.in Math.に近刊. (発表予定). (2003)
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[Publications] [AKT1]T.Aoki, T.Kawai, Y.Takei: "Exact WKB analysis of non-adiabatic transition probabilities for three levels"J.Phys.. A35. 2401-2430 (2002)
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[Publications] [AKoT]T.Aoki, T.Koike, Y.Takei: "Vanishing of Stokes curves"Microlocal Analysis and Complex Fourier Analysis, World Scientific. 1-22 (2002)
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[Publications] [KS] T.Kawai, H.P.Stapp: "On infra-red singularities associated with QC photons"Microlocal Analysis and Complex Fourier Analysis, World Scientific. 115-134 (2002)
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[Publications] [KoT] T.Koike, Y.Takei: "The effect of new Stokes curves in the exact steepest descent method"Microlocal Analysis and Complex Fourier Analysis, World Scientific. 186-199 (2002)
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[Publications] [AKY]青木貴史, 片岡清臣, 山崎晋: "超函数・FBI変換・無限階擬微分作用素"共立出版 近刊. (2003)