2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340050
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
綿谷 安男 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (00175077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸崎 秀樹 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20186612)
濱地 敏弘 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20037253)
松井 卓 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (50199733)
梶原 毅 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50169447)
中路 貴彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30002174)
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Keywords | 複素力学系 / C^*-環 / ジュリア集合 / フラクタル集合 / クンツ環 / 有理関数 / 縮小写像 / 作用素 |
Research Abstract |
この研究では多項式や有理関数の反復合成のつくる複素力学系からヒルベルト空間上の作用素のつくる特別なC^*環を構築し、異なる二つの分野の関係を考察することが目的であった。有理関数fをリーマン球面上の複素力学系とみると、その反復合成の点列の挙動は穏やかな振る舞いをする点と不安定で複雑な振る舞いをする点があらわれる。前者の点の全体はFatou集合F_f、後者の点の全体はJulia集合J_fといわれる。後者のカオス的振る舞いを反映するように、まずJulia集合J_fの連続関数環A=C(J_f)上のヒルベルト双加群X_fを構成した。有理関数はリーマン球面上の有限分岐被覆写像なので、その分岐点での分岐指数をうまく考慮すると、fのグラフにC^*環A値内積が入るのがポイントである。ヒルベルト双加群X_fからToeplitz-Pimsner環T_fとその商環であるCuntz-Pimsner O_fを構成できる。このようにして有理関数fに新しくC^*環O_fを対応させることができた。特にfが多項式のβ時でさえ、C^*環O_fの構造はほとんどわからない。fが2次以上の有理関数の時には、C^*環O_fはいつでも純無限の単純C^*環になることをすでに示した。今年度の研究では、有理関数fの次数deg fのような幾何学的情報が、対応するC^*環O_fの構造にどう反映するかを研究した。ヒルベルト双加群X_fからのCuntz-Pimsner O_fの構成方法より、ゲージ作用という標準的な1径数自己同型群がC^*環O_f上に存在する。このゲージ作用の逆温度βのKMS状態といわれる平衡状態を解析した。これが逆温度β=log deg fで相転移を起こすことがわかった。例外点がない場合には、0<β<log deg fではKMS状態は存在せず、β=log deg fでは唯一つ存在し、それはLyubich測度に対応することがわかった。
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Research Products
(6 results)