2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340052
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
辻井 正人 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20251598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅岡 正幸 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10314832)
國府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50202057)
宍倉 光広 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192606)
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Keywords | 力学系理論 / エルゴード理論 / カオス / 関数解析 / 双曲力学系 |
Research Abstract |
本年度は前年度までの部分双曲的力学系の研究を発展させ,特にその中で重要性が増している解析的手法を発展させることを重点に研究を行った.1つの重要な成果は(部分)双曲的な力学系の(部分)双曲構造に応じてある超関数の空間(非等方的ヘルダー空間や非等方的ソボレフ空間)を構成し,その上のルエル作用素のスペクトルの本質的スペクトル半径についての良い評価を得たことである.これはこれまでRughやLiveraniによって得られていた結果を単に改良するだけではなく,関数解析的な手法がより本質的に力学系理論に応用される先駆けとなるものである.年度の後半には本質的スペクトル半径についての評価を改良し最良のものにするためにいくつか変更を加えた.また,ルエル作用素のスペクトルと力学的ゼータ関数の解析的拡張やその零点については古くからその関係が指摘されてきたが,上記の結果に基づいた研究によりその関係を明らかにすることに成功した.これとは別に,ある比較的単純な拡大的な半流に付随する転移作用素について,適当な非等方的ソボレフ空間の上の作用を考えることで,相関の減衰についていわゆるルエル共鳴と呼ばれる漸近展開を得た.これは離散力学系の場合にはよく知られていた現象であるが,連続力学系の場合にはこれまで知られていなかったことで,本研究で開発された非等方的ソボレフ空間の有用性をしめす重要な結果となった.この成果を一般の双曲的な流れに発展させることで,これまであまり進展がなかった力学系のゼータ関数についての研究を進展させることが出来ると期待できる.
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Research Products
(6 results)