2002 Fiscal Year Annual Research Report
カオス的力学系および大自由度力学系の分岐理論的研究
Project/Area Number |
14340055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50202057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 正人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20251598)
木坂 正史 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (70244671)
宍倉 光広 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192606)
石井 豊 京都大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (20304727)
柳田 英二 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80174548)
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Keywords | 力学系 / 分岐 / カオス / 複雑系 / 大自由度 / 無限次元力学系 / 微分方程式 / 位相的方法 |
Research Abstract |
今年度に得られた主な研究成果は以下の通りである。 国府は特異摂動的ベクトル場のConley指数理論の応用として、時間と共にゆっくりと振動的に変化するある種の非自励的Hamilton方程式系における解の複雑な振舞いを記号力学系的に記述する方法を与えた。また、Lorenz方程式のある種の特異極限における退化したheteroclinic loopの存在を示し、そこからの摂動で幾何的Lorenzアトラクタが現れることを証明した。後者については目下、論文を準備中である。 宍倉は円周上の無理数回転をベースとする円環上のskew productについて、有界変動の条件の下で、写像が極小不変集合をもつことと、完全可積分型であることの同値性を示した。またいくつかの条件の下で、非可積分で極小不変集合をもたないような写像はgenericであることも示した。 木坂は擬等角手術の方法を用いて、任意の自然数$n$に対し、ある超越整関数で連結度がちょうどnとなる多重連結な遊走領域をもつものを構成した。またこの手法の応用として、多重連結な遊走領域の異なるgrand orbitを無限個もつような超越整関数の例も構成した。いずれの例も今までには知られていなかったものである。 辻井は臨界点を持たない2次元多様体上の部分双曲的写像の力学系はgenericに有限個の不変測度を許容し、その吸引領域の全体は多様体上のリーマン体積についてほとんど至る所の点を含む。さらにその不変測度の2つのリヤプノフ指数の和が正であればその測度はリーマン体積について絶対連続になることを示した。 石井は一次元半古典系におけるトンネル効果とそれに対応した複素Henon写像の力学系との関係を研究した。量子力学の複素半古典論では、ある粒子の遷移確率は複素二次元空間内の経路積分として表され、その積分に寄与しているものの実平面に含まれない経路全体がトンネル効果を記述すると考えられている。この寄与経路全体とHamilton方程式のPoincare断面として得られる複素Henon写像の前方Julia集合との対応関係を数学的に一部正当化した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Gedeon, H.Kokubu, K.Mischaikow, H.Oka: "Chaotic solutions in slowly varying perturbations of Hamiltonian systems with applications to shallow water sloshing"Journal of Dynamics and Differential Equations. 14. 63-84 (2002)
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[Publications] S.Matsumoto, M.Shishikura: "Minimal sets of certain annular homeomorphisms"Hiroshima Mathematical Journal. 32. 207-215 (2002)
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[Publications] M.Tsujii: "Absolutely continuous invariant measures for multidimensional piecewise expanding maps"Sugaku. 54. 383-397 (2002)
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[Publications] A.Shudo, Y.Ishii, K.S Ikeda: "Julia set describes quantum tunnelling in the presence of chaos"J.Phys.A : Math.Gen.. 35. L225-L231 (2002)
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[Publications] M.Shishikura: "Rigidity of quadratic polynomials"数理解析研究所講究録. 1269. 63-73 (2002)
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[Publications] E.Yanagida: "Mini-maximizers for reaction-diffusion systems with skew-gradient structures"Journal of Differential Equations. 179. 311-335 (2002)