2003 Fiscal Year Annual Research Report
太陽プラズマ噴出現象の発生源となる浮上磁束管の捩れ構造の研究
Project/Area Number |
14340060
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒河 宏企 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80135508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一本 潔 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70193456)
北井 礼三郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40169850)
柴田 一成 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70144178)
上野 悟 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70303807)
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Keywords | 太陽フレア / 太陽黒点領域 / 太陽磁場活動望遠鏡 / 捩れた磁束管の浮上 / ベクトル磁場測定 / Hα単色太陽全体像 |
Research Abstract |
太陽表面で大きな爆発が起こると、地球上及び宇宙空間の電気情報通信システムが影響を受けることが知られており、特に人工衛星や宇宙ステーションにおける人類の活動にとって、太陽表面爆発の予報が必要不可欠である。我々のこれまでの研究により、太陽内部から捩れた磁束管が浮上してくる時に、大きな爆発が生じることが判ってきた。このこのメカニズムを更に詳しく調べるために、14年度に太陽磁場活動望遠鏡(Solar Magnetic Activity Research Telescope : SMART)を製作した。 今年度は、このSMART各部の性能検定とこれらを最適化するための調整作業を行った。また、このSMARTを用いたテスト観測を実施した。 SMARTは4本の望遠鏡を一つの赤道議に同架したもので、Hα線単色ととベクトル磁場について、それぞれ太陽全体像と拡大部分像を同時に撮影できる性能を持っている。とりわけ全体像については、世界最高の空間分解能と精度を実現しようとするものである。そのためにの多くの工夫を盛り込んでいるので、それらの性能が計画どおりに実現しているかどうかについての検査を順次行った。主な結果は次の通りである。 (1)塔体振動検査:望遠鏡は16mの塔上に設置されており、風速10m時にも揺れない設計となっている。検査の結果、塔自身はOKであったが、望遠鏡土台直下のH鋼の微小撓みが無視できないことが判明したので、補強することになった。 (2)望遠鏡内温度制御:Lyot filterや、Fabry-Perot filterなどの光学部品を安定に機能させるために、筒内の温度を常に20度から30度の間に保持する空調システムを採用している。-15度の最低気温となる冬季においても、仕様が満たされていることが確認された。 (3)Lyot filterの透過波長特性:透過率輪郭(半値幅、中心波長透過率)、中心残留サイドバンド透過率、波長スキャンの再現性、フィルタ内部温度の安定性などを測定。主要な性能は実現されていたが、一部不十分な性能について現在最適化するための作業を続行している。 (4)CCDカメラ:USB2対応の最新カメラ(4k×4k pixcels)を採用したが、望遠鏡からのノイズに影響されることが判明。USB2に強いハブの再選択とカメラの改良及びノイズフィルタの設置を行っている。 以上のような未解決の問題はあるものの、Hα全体像については、既に世界最高級の分解能を確認した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Brooks, D.H., Kurokawa, H., 他: "Short duration active region brightenings observed in the EUV and H alpha by SOHO/CDS and HIDA/DST"Astrophysical Journal. 602(In press). (2004)
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[Publications] T.Morimoto, H.Kurokawa: "Eruptive and Quasi-Eruptive Disappearing Solar Filaments and Their Relationship with Coronal Activities"Publication of Astronomical Society of Japan. 55. 1141-1151 (2003)
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[Publications] S.Kamio, H.Kurokawa 他: "Precise Determination of Cooling Times of Post Flare Loops from the Detailed Comparison betaeen Hα and soft X-ray images"Solar Physics. 215. 127-146 (2002)
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[Publications] Brooks, D.H., Kurokawa, H.他: "A study of the causal relationship between the emergence of a twisted magnetic flux rope and a small H alpha two-ribbon flare"Astronomy and Astrophysics. 411. 273-290 (2003)
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[Publications] Ishii, T.T., Kurokawa, H.他: "Twisted Magnetic Flux Bundle Models for Solar Flares"Proc. of IAU Symp.219. (in press). (2004)