2002 Fiscal Year Annual Research Report
X線時間変動の観測を通した超巨大ブラックホールの基本計量測定
Project/Area Number |
14340061
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林田 清 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30222227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根来 均 理化学研究所, 研究員 (30300891)
粟木 久光 愛媛大学, 理学部, 助教授 (30252414)
井上 一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40092142)
伊予本 直子 大阪大学, 理学研究科, 日本学術振興会特別研究員
片岡 淳 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90334507)
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Keywords | ブラックホール / 活動銀河核 / X線時間変動 / 時系列解祈 / ジェット / クェーサー |
Research Abstract |
本研究の目標は、活動銀河核のX線時間変動を通して超巨大ブラックホールの質量などの基本計量を推定することにある。今年度の活動は、これまで各人が行ってきた研究の延長線上で活動銀河、あるいはその比較対象になる恒星質量ブラックホールのX線観測のデータ解析を中心に行った。今年度の主な成果をあげると以下のようになる。 1)活動銀河核のX線スペクトルに見られる鉄の蛍光輝線は大きな広がりをもち、ブラックホールのごく近傍から放射されているものと考えられている。我々は、代表的なセイファート銀河NGC4151の長期X線観測を通して、鉄輝線の時間変動がこの標準的な描像に合致しないことを示すとともに、別の解釈を提案した。2)X線時間変動の解析には従来パワースペクトルや構造関数といった手法が用いられてきたが、新たな解析手法を導入した。活動銀河核Ark564のX線光度曲線を題材に、変動は過去の履歴の線形結合で記述できるか否かといった命題に検討を加えた。また、恒星質量ブラックホールCygX-1を題材にフレアの大きさの頻度分布を調べ、ガンマ線バーストについて知られている対数正規分布に類似していることを示した。3)ブレーザーとして分類される活動銀河核は、我々の方向に向かってくるジェットからの放射が強調されて観測されている。我々は、ブレーザーの時間変動についてX線長期観測のデータをジェットの内部衝撃波モデルで説明することを試みた。また、代表的なクェーサー3C273の時間変動、スペクトルからこの天体の性質、ブレーザーとの差異に関して論じた。 以上の研究においてメンバー間の研究協力は個人ベースですすめてきたが、研究の組織化という面では必ずしも十分でなかった。来年度は、より活発な情報交換の場を設けるとともに、新たな領域、たとえば最近注目されている中間質量ブラックホールにも目を広げていきたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Takahashi, H.Inoue, T.Dotani: "Origin of the "Disk-Line" Feature in the X-Ray Energy Spectrum of a Seyfert Galaxy, NGC 4151"Publication of the Astronomical Society of Japan. Vol.54,No.3. 373-386 (2002)
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[Publications] M.Gliozzi, W.Brinkmann, C.Rath, I.E.Papadakis, H.Negoro, H.Scheingraber: "On the nature of X-ray variability in Ark 564"Astronomy & Astrophysics. Vol.391. 875-886 (2002)
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[Publications] H.Negoro, S.Mineshige: "Log-Normal Distributions in Cygnus X-1 : Possible Physical Link with Gamma-Ray Bursts and Blazars"Publication of the Astronomical Society of Japan. Vol.54,No.5. L69-L72 (2002)
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[Publications] C.Tanihata, T.Takahashi, J.Kataoka, G.M.Madeiski: "Implications of Variability Patterns Observed in TeV Blazars on the Structure of the Inner Jet"The Astrophysical Journal. Vol.584,Issue1. 153-163 (2003)
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[Publications] J.Kataoka et al.: "RXTE observations of 3C 273 between 1996 and 2000 : variability time-scale and jet power"Monthly Notice of the Royal Astronomical Society. Vol.336;Issue3. 932-944 (2002)
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[Publications] 片岡 淳, 高橋 忠幸, 谷畑 千春, 窪 秀利: "ブレーザーの多波長同時観測と粒子加速への示唆"天文月報. 95巻8号. 373-380 (2002)